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「雨の中で踊れ」日本文藝家協会編

 最近読了した短編集。
 一人で辺鄙な場所へバス旅に出た時のお供だったこともあり、どの物語も好きだ。あえて順位をつけるなら特に、後半の短編たちが好きだった。

「一角獣の背に乗って」は、女子校の息苦しさをほんのり思い出した。突き破って嘲笑うようなラストは爽快で印象的で、一角獣に跨る少女たちの情景が焼きついている。

「どうせ殺すなら、歌が終わってからにして」も同じように、異国の景色がくっきりと思い浮かぶ。ソマリアの歌を聴きたいと思った。

 斜線堂有紀さんの「妹の夫」は、この短編集の中で一番好きな話だった。SF・ミステリーの良さがギュッと濃縮されている感じだった。ラストの嬉しいどんでん返しも好き。

 最後の「ビーチで海にかじられて」もかなり好き。私はいま南の島国に住んでいて、きらきらなビーチにはサメがウヨウヨいるらしいね、なんて話しながら、東北近辺で熊が民家に現れる事態がニュースになりまくっていたから、やけに身近に感じながら物語を読むことができた。


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