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9月のまんなか

明らかに、変わった。

自転車の後輪が、パンクじゃないけどふにゃふにゃになって走れなくなった。

修理に出せばいいんだけど、自転車屋までが遠い。高校入学の時に買ってもらったイイ自転車だけど、7年以上経ってるし、錆びてるし、新しいのを買うことにした。

時期じゃないから置いてる数は少ないけれど、相棒をみつけた。乗ってみたら、そりゃあお値段なりの乗り心地だけど、がんばって漕いでみることにした。

ちょっと前までは退屈で、人生が止まっているみたいな感覚があった。その証拠に、「止まる」って題の下書きがあった。8月末のこと

それが明らかに変わった、今日。

何気ない1日だった。いつもと一緒、でも違った。普段なら軽く流してしまう母の話をちゃんと聞いた。久しぶりに日記をつけた。ちょっと慌てて家を出た。花粉を感じた。仕事がめちゃくちゃ忙しかった。なんか空回りしてた。なのに働くのが楽しかった。先輩の甥っ子の話を聞いて、膝から崩れ落ちるほど笑った。

帰り道、源さんの「くだらないの中に」を聴いて幸せな気持ちになった。無人駅でスマホを拾って試されている気分になった(駅員さんに届けた)。自転車を漕ぎながら頭の中に次々と言葉が浮かぶ。ナレーションをつけるってことは、自分が主人公だと認識できているってことだ。

家に着いたら母がいて、ご飯が待っていて、「いただきます」ってちゃんと声に出していて、「ごちそうさま」って伝えて、普段会話ゼロの弟に「おかえり」って言えて、疲れてるけど洗い物をすることにして、眠いけどとにかくいい感じの1日だった。どこが?って思われるかもしれないけど、それは私だけが分かっていればいい。

嫌いだったものが悪くないかもと思えて、むしろ愛着が湧いてきた。今のわたしにとって豊かさは、数が多いことよりも、好きなものや大事にしたい人がハッキリしていることだ。

人生を動かしたくなった。いつからか、もう動き始めている。まろやかなマインドを手に入れて、明日からも秋を漕ぐ。

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