見出し画像

【新トップ】「Change before you have to.」 アサヒグループ食品次期社長の川原浩氏が会見

 3月17日、アサヒグループ食品の川原浩専務が同社の社長に就任する。注目したいのは川原氏の経歴。そのほとんどがアサヒビール出身者で占められているアサヒグループホールディングス傘下の事業会社のトップとして異色といえるからだ。大学卒業後は日本長期信用銀行(現新生銀行)を皮切りに、チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン証券)、投資会社のカーライル・グループなどでキャリアを積み重ね、“生き馬の目を抜く”と揶揄されるほど生存競争が厳しいことで知られる金融界で生き抜いてきた。

画像1
アサヒグループ食品の尚山勝男氏(左)と川原浩氏(右)=16日、東京・日本橋

 3月16日、東京都内で会見した川原氏は「食品業界での経験は1年しかなく、素人のようなものだ。しかし、様々な会社で働き、見たりしてきたこれまでの経験から言うと、会社が顧客に価値を提供していくうえで必要なことは、社員がよい商品、サービスを提供していくこと。(これは)どの会社でも変わらない」と言い切る。そして「心と体の健やかさを提供する企業を目指す」と新社長の抱負を力強く語った。後継に指名した尚山勝男社長からの信頼も厚く、「ロジカル(論理的)な知見と柔軟な思考を持ち合わせており、安心しておまかせできる」と太鼓判を押す。

会見着席2ショット
記者の質問に応じるアサヒグループ食品の尚山勝男氏(左)と川原浩氏(右)=16日、東京・日本橋

 アサヒグループ食品にとって目下の課題は事業利益率の向上。2019年は11.1%と二けた台に乗せていた事業利益率だが、20年はコロナ禍の影響で主力のタブレット菓子「ミンティア」の販売不振が響き8.9%に低下した。また、グループ会社との統合によるシナジーの追求も大きな課題となる。グループ会社の統合について「一体化はなされているが、まだ余地はある。さらなる一体化が必要だ」と気を引き締める。

 座右の銘は1981~2001年にかけて米ゼネラル・エレクトリック(GE)の最高経営責任者(CEO)を務め、“20世紀最高の経営者”との呼び声も高いジャック・ウェルチ氏の言葉「Change before you have to.」(変革せよ。変革を迫られる前に)。ウェルチ氏の名言を胸に常に先手で変革を進める日々がスタートする。

画像4
記者会見に臨むアサヒグループ食品の川原浩氏=16日、東京・日本橋

【プロフィル】かわはら・ひろし 慶応大経済卒。1990年日本長期信用銀行(現新生銀行)入社。チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン証券)、ゼネラル・エレクトリック・インターナショナル、カーライル・ジャパンを経て2020年3月アサヒグループ食品専務。54歳。神奈川県出身。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?