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【fromラボ】キリン中央研究所、乳由来「βラクトペプチド」が集中力を高めるメカニズムを解明 世界初

 

 キリンホールディングスの研究部門、キリン中央研究所は18日、慶応大学との共同研究でカマンベールチーズなどの発酵乳製品に多く含まれる乳由来「βラクトペプチド」が集中力を高めるメカニズムを世界で初めて解明したと発表した。現在、キリングループは脳機能や免疫といったヘルスサイエンス領域の事業を強化している。今後は大学や自治体などと連携しながら「脳の健康」をサポートできる社会の実現に向けた取り組みを進める考えだ。


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脳波測定の結果(キリンホールディングス提供)

 今回の共同研究では45歳~65歳の健常者を対象に、βラクトペプチドの1つで、記憶力と注意力の改善につながるとされる「GTWYペプチド」を含むサプリメントの摂取がヒトの脳活動に及ぼす作用を検証した。負荷課題中の脳波を測定した結果、GTWYペプチド摂取群は集中を擁する認知課題中の前頭葉から頭頂葉におけるP300の振幅がプラセボと比較して統計学的に優位に高まることを確認したという。P300は集中力に関わる神経活動の指標とされており、今回の結果はGTWYペプチドが集中力を高める脳内のメカニズムの解明につながっているとしている。


 超高齢化社会を迎えた日本では、加齢に伴う認知機能の低下や認知症が社会の課題となっている。とりわけ認知症は有効な治療方法がなく、食事など日常生活での予防に注目が集まっている。日本人を対象とした疫学研究では、牛乳や乳製品の摂取が認知症や認知機能低下のリスク低減につながることが報告されている。キリングループではかねて東京大学や協和キリンと連携し、脳科学研究を行っている。その成果として、2018年には乳由来の認知機能改善ペプチドとして「βラクトペプチド」を発見。さらに、19年には慶應大学と連携した試験で、「βラクトペプチド」の一つである「GTWYペプチド」が記憶力と注意力を改善することを突き止めている。


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