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【fromラボ】男性型脱毛症「AGA」患者の頭皮には●●●が多い

男性型脱毛症「AGA」患者の頭皮には粘度の高い脂肪成分が多い―
 
 大正製薬は明治薬科大学薬学部の杉田隆教授との頭皮環境に関する共同研究で、男性型脱毛症であるAGA患者の頭皮に皮脂成分の「トリグリセリド」【Word】※1「(細菌の)アクネ菌」【同】※2「(真菌の)マラセチア属菌」【同】※3が多く存在することを突き止めた。同社は、今回の研究成果を製品に応用できるよう引き続き研究を進めるとしている。

 AGAとは思春期以降に始まり徐々に進行する男性型脱毛症。毛は「成長期」「退行期」「休止期」というヘアサイクルを繰り返す。しかし、AGAを発症すると成長期が短くなり、休止期の毛包が増加することで前頭部や頭頂部の頭髪が軟毛化して細く短くなり、最終的には頭髪が皮表に現れなくなる。日本人男性による発症頻度は全年齢平均で約30%とされる。AGAの発症には、一般的には遺伝的素因が強いとされるが、最近では遺伝性以外の要因も示唆されている。

 同社は遺伝性以外の要因として頭皮環境との関係性に着目し、AGA群(55人)と非AGA群(63人)の日本人男性118人の頭皮の皮脂、細菌、真菌を分析した。その結果、皮脂では皮脂中のトリグリセリドの占める割合が、AGA群において非AGA群よりも高いことが分かった(図1)。

 また、細菌ではアクネ菌(Cutibacterium)、真菌ではマラセチア属菌(Malassezia_restricta)の割合が、AGA群において非AGA群より高いこともわかった(図2)。

 研究の結果、皮脂中のトリグリセリド、常在菌であるアクネ菌やマラセチア属菌がAGAの原因や進行に影響している可能性があるとしている(図3)。頭皮の皮脂成分は細菌や真菌の栄養源になるとされる。このため、同社は、日々の髪や頭皮の皮脂ケアを行うことが重要と指摘している。

【Word】
※1「トリグリセリド」 中性脂肪やTGとも呼ばれ、粘度の高い物性を示す※2「アクネ菌」 顔や背中など皮脂が豊富な皮膚部位に生息するヒトで最も豊富な細菌
※3「マラセチア属菌」 脂漏性皮膚炎、癜風(でんぷう)、アトピー性皮膚炎の原因あるいは増悪因子となる真菌

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