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【住宅ローン】マイナス金利解除…ネット銀行の生き残りを賭けた戦いが始まる

2024年3月、日本銀行がマイナス金利を解除し、今後、金利のある世界が訪れるとされています。
住宅ローン業界もその影響を強く受けるのは明らかであり、すでに少々変化も生まれてきました。
今回は、マイナス金利解除から約一ヶ月が経過した現時点で、今後の住宅ローン業界において、ネット銀行がどうなるのか考察してみたいと思います。

ネット銀行の住宅ローンといえば、これまでのマイナス金利下において熾烈な低金利競争を繰り広げ、新規取り扱い高を大きく伸ばし、業界を席捲してきました。
しかし、このままマイナス金利解除に留まらず追加の利上げが進むと、多くのネット銀行にとっては厳しい戦いを強いられそうな状況となりそうです。その理由を解説します。

※特に但し書きのない限り、この記事における預金金利とは普通預金金利、住宅ローン金利とは変動金利のことを指します。

ネット銀行の事業モデルとは?

多くのネット銀行の事業モデルは、店舗コスト、人件費コスト等を抑え、既存銀行よりも経費をかけないことで、既存のメガバンクや地方銀行よりも有利な条件の住宅ローン商品を開発し、新規貸し出し取り扱い件数、取扱高を増やしていくというものです。
有利な条件とは、わかりやすいところで低い貸し出し金利が挙げられ、最近は、ローンに付帯する団体信用生命保険の保障内容についても競争が起きていました。

一方、お金を貸し出す場合には、まずお金を集めなくてはなりません。
ネット銀行の中で、法人向け取引に力を入れている銀行はなく、基本的に個人を中心に預金を集め、個人に対して融資をおこない、その金利差が収益となっています。
そして、個人に対する融資は、圧倒的に住宅ローンの比率が高くなっています。
ネット銀行から住宅ローン事業を取ると、何も残らないと言っても過言ではないくらいです。
個人から預かったお金をそのままスライドさせて個人に住宅ローンとして貸し出しているようなシンプルな構図が描けます。
これは、海外のグローバル事業や法人取引にも力を入れつつ、個人向けでもカードローンや証券、保険などの取り扱い手数料など、住宅ローン以外にも収益の柱があり、住宅ローン事業への依存度が圧倒的に異なるメガバンクとの大きな違いとなっています。

金利上昇局面で何が起こる?

マイナス金利解除後に、すぐさま多くの銀行が発表したこと、それは「預金金利の引き上げ」です。
顧客心理として、当然、金利の低いところに預けるよりも、金利の高いところに預けたいと考えますので、各銀行預金残高を減らさないように、多くの銀行が横並びで預金金利を引き上げました。
これは、銀行にとって負担が増えることであり、預かっている預金に対して支払い金利負担が増えることは、ネット銀行だから経費を抑えられるといった類のものではなく、既存銀行であってもネット銀行であっても、引き上げ幅が同じであれば同じように負担となります。

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東京都中央区日本橋にある不動産会社の社長が執筆しています。不動産取引のことや不動産業界のことなどを書き連ねていきたいと思います。何かご質問やご相談がございましたらお気軽にお尋ねください。noteのテーマのリクエストでも大丈夫です♪