見出し画像

ちきなんという男


ちきなんという男がいる。


ヤツは、その人あたりの良さと、圧倒的な手の大きさで、皆から愛される謎のポジションを確立している。


俺が東京で個展をするといえば、すぐに駆けつけてスタッフをしてくれたり、何かある度にすぐに連絡をくれる、芯から優しい良いやつだ。


あまりに良いやつ故、良く変な人に懐かれたり、外国人にバカにされたりしているので、あまりフォーカスされないのだが、ヤツはかなり天然だ。


初めてちきなんと会ったのは、2年前の冬だったと思う。


あの頃は俺も夜の仕事をしていて、あまりお互い予定も合わないので、梅田のしぇからしかでラーメンでも食おうという話しになった。


初めて会うちきなんは、印象通りの優しい雰囲気で、綾野剛を地下に4年監禁したようなテイストだった。


早速ラーメン屋に入り、同い年ということもあり早速話が弾む2人。
仮想通貨の事、好きなバンドの話し、ネットでは出来ない話題で大変盛り上がった。


俺はしぇからしかでは、ラーメンとライスを頼むので、基本的に替え玉はしないのだが、ちきなんは2発替え玉をしていた。
2回目なんて、もうほぼスープもない状態での替え玉だ。


昔から気に入って通っている店で、こんなにモリモリ食べてもらえると、こちらも嬉しくなる。


2人とも流石に満腹で、大満足で店を出た瞬間、ちきなんが言い放った
「美味しいけど、そんないうほどではないな!😄


これがちきなんだ。


次に会ったのはその数ヶ月後
俺たち大阪組には、みんなのお兄ちゃんのような存在の、shotax先生という兄貴が居る。


先生にもずっとお世話になっていたので、一度3人で集まろうという話しになった。


集合場所は難波駅。
久々にプライベートで食事なので、俺はピカピカの白いジョーダンを履き、ウキウキで合流した。


予約していた中華料理店に入り、早速乾杯。
その瞬間、ちきなんは「あっ」と言いながらビールをひっくり返し、全て綺麗に俺のピカピカのジョーダンにかかった。


これがちきなんだ。


いつも一緒にいる、先生、ちきなん、Gさん等の大阪組以外で集まる事ももちろん多い。


その日はカナダから来てくれた女の子や、博多からの参加者もいるオフ会だった。


せっかくなので串カツの老舗、松葉に入り、盛り上がる一同。
1〜2時間経った頃だろうか?みんなもうお腹もいっぱいなので、そろそろ移動しようという空気になった。


「あっ!私みなさんにお土産持ってきたんですよ!」と、カナダから来てくれた女の子が、みんなに紙袋を手渡してくれた。


こんなに遠くから来て、わざわざお土産まで。
あまりに良い子すぎて、みんなが感動しながら、紙袋を手に店を出ると、ちきなんだけが手ぶらだった。


松葉のカウンターには、寂しそうに放置されている、ちきなんのお土産が残されていた。


これがちきなんだ。


そんな天然なちきなんだが、ヤツは大卒。それもかなり賢い大学生を出ているので、やはりベースが優秀だ。


全てをノリでやっている俺とは違い、先物等のトレードも、しっかり理解しながら進めている。


俺はノリで仮想通貨を始め、ノリでNFTを作り、ノリで生きているので、もちろん何も分からない。
逆三尊とか、みんなかっこつけて言ってるだけだと思っている。


そんな俺を見かねて、ある日ちきなんが、直接先物取引の詳しいやり方と、注意点を教えてくれた。


「ここにこれ入れて、レバレッジはこれ。なんぼ行ったら売るとかそういうのはここに入れて~」


ちきなんは、実際にバイナンス上で取引をしながら、とても丁寧に教えてくれた。


そして、とても分かりやすく、とても丁寧に教えてくれながら、とても丁寧にロスカットされた。


これがちきなんだ。


個展に行く途中も、ずっと俺の体調を気にかけてくれて
「にらっちいける?荷物とか持つで!」
「全然寝てないやろ?指示してくれたら動くで!」と、優しい言葉をかけてくれながらも、ずっとスーツケースで俺の足を軽めに轢き続けていたちきなん。


みんなそんなちきなんが大好きだ。


終わり


X(Twitter)
ちきなん

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?