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不眠症の男



「今日も眠れない」

一度はベッドに横たわったが、
眠ろうとすればするほど、目が冴える。

もう何日、眠れぬ夜が続いているのだろう。

最初は、そんな事もあるさ、と軽く考えていた。
いずれそのうち、眠たくなるだろう、と。

だが、何日たっても一向に眠くなる気配がない。

夜が寝れなかったなら、
日中に眠たくなる、という事もない。

ならば、これは俺に与えられた転機なのかもしれない。

今まで時間がなくて出来なかった事をやる機会が与えられた、と思う事にした。

今までは、会社と家を往復するだけで1日が終わってしまっていた。
だが、今は違う。

読みたかった本を読み、映画を見たりと娯楽の時間を持てるようになった。
日増しに、自分が活き活きしてくるのが感じられた。

それまでの冴えない自分が一転し、何故かモテ始めた。

いつしか俺は、毎晩違った女性と過ごすようになった。
眠れない事が、こんなに素晴らしい事だったなんて考えもしなかった。

だが、いつまで眠らずに過ごせるのだろう。
また、眠れるようになったら、この生活は終わってしまうのでは、という不安にかられる。






「また、うなされているのね」
ベッドに横たわった男の汗を、そっと拭く女性。

男は目はくぼみ、頬はこけ、手足は枯れ木のようにやせ細っていた。
腕には点滴とおぼしきものがつけられていた。

男は時折、女と思しき名前をつぶやいていた。
そんな男を無表情に見つめる女性。

「あなたが眠り続けて、どれくらいの日がたったのかしら。
あなたは、毎日毎晩、私が知らない何人もの女性の名をつぶやくけど、決して私の名はつぶやかない」

部屋の窓から、月あかりが差しこみ女の顔を照らしている。

月を見上げ、女は深々と溜息をついた。

「今夜もまた、眠れそうにない。
私が寝ている間に、あなたが私の名をつぶやくかもしれない。
あなたの妻の名を」

★★★★

インスタにて、毎日タロットを引いて、そこからお話を作っています

この日にでたのは、ソード4がダブル。

ソード4は、お休みのカード。
ここで一旦休みましょうか、という小休止のカードなんですね。
前日、夜更かししすぎて4時間くらいしか寝てない状態でカードを引いたらこれが出ました。
あらま!

単なる寝不足、ですね(笑)

これが、ソード4とソード9だと、お疲れ気味って感じなんですが、今回は単なる寝不足ですね。

寝る時間がないと、やれる事も増えるかも?


この話の主人公は
眠れなかった反動で眠り続けているのか、
それとも眠れない夢をみているんでしょうか?

それとも、そもそもに・・・


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