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新国立劇場バレエ団「ラ・バヤデール」鑑賞記録

新国の「影の王国」見たさでチケットをとったバヤ。
選んだのは2024年5月4日(土)マチネ、唯さん主演の回。

まず、席、失敗した!
4階正面の2列目、チケット片手に席を見つけたときはクッションがある!これ使っていいの?親切だな……なんて思っていたけれど、始まってみて納得。
席自体の傾斜はけっこうあるのに、それでもカバーできないほど前の席の人の頭で舞台が見切れる。うぐぐ。
群舞が見どころのこの作品は正面席が早く埋まってしまって争奪戦で、2列目ならギリ……と思ったけどだめだった。
リーズナブルな席なので見切れは覚悟していたけれど、低身長の私はやっぱり最前列を死守しなければいけないと再確認。

それもあって1~2幕はあんまり入り込めなかった。
舞台転換の多さからか、ちょっと冗長な感じもした。
衣裳もクラシカルで、もうちょっとインド感ほしかったな~。

直近で観たバヤ全幕は東京バレエ団の一昨年の公演(秋山瑛さん主演の回)で、それがとても素晴らしかったのでどうしても比較してしまうのだけど、ブロンズ・アイドルって照明によってかなり印象が変わるのでは、と思った。
全身を金ピカに塗りたくるタイプのブロンズ・アイドル、東バの公演を観たときは照明を落としていたからダンサー自身が光っているように見えて神秘性を感じられたし舞台映えしていて、金ピカなのも腑に落ちた。
新国ではそんなに照明落としてなかったから、そこがもったいないなーと。
でも昨日の木下さんは正確無比といった踊りで、人ならざる者・正義の化身といった雰囲気が出ていて好きだった。
ブロンズ・アイドル、超絶技巧で周囲を圧倒させる踊りかと思っていたけど、こういうアプローチもあるのか。

影の王国は、安定のコールド。綺麗だった!
下の二つの記事を事前に読んでいたのも良かった。

スロープがインドの山の舞台美術になっているのも凝ってる(幻想的な場面で青空なのはどうかなと思ったけど)し、32人という人数の多さも迫力!
コールドは近くで見るとダンサーがぷるぷる震えながらキープしてるのが分かってハラハラしちゃったりするのだけど、その点4階からだと綺麗さに没頭して見られた。
でも、やっぱり東バの影の王国と比べてしまう。東バでは床面にまでコールドの動きが反射して綺麗だったし、幻想的だった。新国はザ・リノリウムな床材だからか照明のせいかそれがなく。床に反射していたらさらに美しかっただろうな。

そんな感じでイマイチはまり切らずに観たのだけれど、影の王国の第1Va.の花形悠月さん、すごく良かった!
難しい踊りなのに安定感があって、音の取り方もすごく気持ちよかった。
こういう「!!」と思えるダンサーを見つけると収穫があったようで嬉しい。

そしてそのあと、怒涛の唯さん!
すべてをかっさらっていく勢い。
うわー好きすぎるー唯さんの身体から音出てるー!と、公演中いちばんテンションが上がった。
テンションが上がりすぎてあんまり記憶がない。

牧版のバヤは最後、解釈の余地を残す終わり方が良かった。
ヴェールをたずさえて去っていくニキヤ、それを追いかけてヴェールに縋り息絶えるソロル。
最後まで諦めない往生際の悪いクズ男……。
ニキヤは天国(極楽浄土?)に行くだろうけど、ソロル、おまえは寺院が崩壊するほど神(仏?)の怒りを買ってるんだから地獄行きでしょうよ、と思う。
木村さんのガムザッティは思っていたよりもニキヤとのアンバランス感はなかったけど、女2人が強い演目なのでソロルはもう少し存在感ほしかったな……。
全体的に演出があまり自分の好みでなかったのかもしれない。

来月はKのバヤを観る予定なので、見比べるのが楽しみ。


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