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初めてバレエを観るあなたへ 演目選びから楽しむコツまで

一度くらいバレエを観てみたいけれど何をどう観たらいいかわからない、という人へ。これはその背中を押せるように、初めてのバレエ鑑賞を応援するnoteです。

バレエと一口に言ってもさまざまなダンサーがいて演目があって、せっかく観るなら楽しい時間を過ごしたいと迷う人も多いのではないでしょうか。初めてならなおさらのこと。そんな人へ、バレエ鑑賞歴24年(!)(物心つかない頃から数えるとこうなる)の私からバレエの鑑賞方法をゆるっとお伝えします。

バレエって敷居も料金も高い?

もともとは王族・貴族の娯楽だったバレエ。たくさんのダンサー、豪華な舞台セットにきらびやかな衣裳、オーケストラの生演奏付きとくればチケットも高いのでは……と思われるでしょうが、実は4千円くらいからチケットがとれます

席によって値段は違いますが、国内のバレエ団なら4千円~1万5千円、国外バレエ団の来日公演なら6千円~2万7千円くらいが目安。

さらに、多くのバレエ公演では25歳以下限定でチケットが安く買えるU-25チケットを販売しています。千円~定価の半額で買えることがほとんどで、とってもお得なので対象の方はぜひ使い倒してください。

このくらいのお値段なので、観客がみんなドレスアップしてるなんてこともなく老若男女いろんな人が会場へ足を運んでいます。

おすすめの演目

バレエには大きく全幕ものとガラ・コンサートがあり、全幕ものは一つの作品を最初から最後まで上演する公演、ガラ・コンサートは複数の作品の見どころを抜粋して詰め合わせた公演です。

自分の都合の良い日に自分好みの公演が上演しているかは運の部分もあるのですが、物語や総合芸術としてのバレエを楽しみたい人には全幕もの、ダンサーの踊りやテクニックに注目したい人はガラがおすすめ。

全幕ものの中でもストーリーが分かりやすく、初めてバレエを観る人におすすめの演目はこちら。

①くるみ割り人形

クリスマス・シーズンの定番として、多くのバレエ団で12月ごろ上演されるくるみ割り人形。古典バレエの代表として幅広い人におすすめです。

世界の国々をイメージした短い踊りや、ダンサーたちの息の合った群舞など見どころも多し。聴きなじみのあるチャイコフスキーの音楽も一緒に楽しめるため、小さな子どもから大人まで飽きることなく観られます。


②ドン・キホーテ

陽気で活発なバレエを観るならスペインが舞台のドン・キホーテ。アップテンポの音楽にメリハリのきいた格好良い踊りが魅力で、楽しく観られる作品です。

ドン・キホーテが素晴らしいのは、女性に負けず劣らず男性ダンサーの見せ場があること。それが生き生きとしてダイナミックで、いつ観てもテンションが上がります。


③海賊

ドン・キホーテと同じく男性の見せ場が多く、エキゾチックさが魅力の海賊。私も大好きな作品です。

初めてのバレエ鑑賞だと日本人のバレエダンサーがヨーロッパのお姫様・王子様を演じることに違和感を覚える人もいるのではないでしょうか。いざ幕が上がって観てみると国籍を感じさせない素晴らしいダンサーが大勢いるものの、海賊だと作品のエキゾチックさと日本人のオリエンタルな雰囲気が調和し、より一層物語に入りこみやすいかもしれません。


④シンデレラ

誰もが知るストーリーで話の流れが分かりやすく、コミカルな義母・義姉にくすっとされられたり魔法にかかったシンデレラの早着替えにあっと驚いたりと親しみやすい作品です。シンデレラの物語が好きな方におすすめしたい。

バレエといえば「白鳥の湖」というイメージがあるものの、公演時間が長いのとバラード調のため飽きてしまう場面もあるかな?と思い、ストーリーが分かりやすく飽きない作品をピックしてみました。気になる演目があればYouTubeでトレーラーなどを調べてみると雰囲気が掴めます。

公演情報はどうやってチェックする?

日本にはバレエ団が数多くあり、海外バレエ団の来日公演もたびたびあるのですが、それを横断的に・プロ公演のみまとめたサイトって少ないんですよね……。私が調べた限り、バレエサーチのバレエ団公演サーチが分かりやすいんじゃないかなと思います。

私自身は、各バレエ団や関連団体の公式サイトを見て公演情報をチェックすることが多いです。よく見ているサイトとおすすめバレエ団も紹介します。

K-BALLET COMPANY
世界的バレエダンサー・熊川哲也さんのカンパニー。公演一つひとつのレベルが高く、私はこのバレエ団の公演を観てがっかりしたことがないほど。

新国立劇場バレエ団
日本で唯一の国立バレエ団。特に、コール・ド・バレエ(群舞)がとても美しいバレエ団です。

NBS
有名バレエダンサーも在籍する東京バレエ団のほか、世界最高峰といわれるパリ・オペラ座バレエ団や英国ロイヤルバレエ団などの来日公演情報があります。

バレエ公演のまえに

観に行く公演が決まったら、そしてそれが全幕ものだったなら、公演前までにぜひやってほしいことが一つだけあります。それは、大まかにでも物語を知っておくこと。

バレエは言葉を発しない舞台芸術です。中でもクラシック・バレエはダンスとマイムで成り立ちます。マイムの身ぶり手ぶりだけで物語を推測しながら観るよりも、事前に物語を知っているほうが踊りや表現がすっと頭に入ってきます。会場へ向かう電車のなかでその演目のWikipediaを読むだけでも、鑑賞のハードルをぐっと下げてくれるはずです。

初めてバレエを観に行く人には、服装についてもよく聞かれます。なかなか着る機会のないよそゆきの服に袖をとおすチャンスでもありますが、カジュアルでもぜんぜん問題ないです。私も普段着のこともあれば、はりきって着物を着ていくこともあります。いろんな服装の人がいますので、あまり気負わずに大丈夫。

もし席が舞台から遠くて心配な人は、劇場で双眼鏡を借りると良いかもしれません。双眼鏡は使う人・使わない人それぞれですが、劇場ロビーで貸し出ししていることが多いです。貸出料は500円(+保証金5,000円)程度。

私がバレエを観に行く理由

私がバレエを観るのは、音楽アーティストのライブコンサートを観に行く感覚に近いかもしれません。会場に足を運んで、本物を観ることで得られる独特の感動がやみつきになっている気がします。今日は自分の好きな公演じゃなかったな……という日ももちろんあるけれど、別の日にはそれを補って余りある体験をすることがあります。

バレエは言葉を発しない舞台芸術だからこそ、世界中のバレエを楽しめるのも良いところ。演劇やオペラと違って、鑑賞には言語が障害となりません。

でもバレエは依然敷居が高いものとして捉えられている節があります。そんなことないのに!と、私は声を大にして言いたいです。バレエは一部の人が観に行くものではありません。誰でも観に行ける舞台なのです。

このnoteがだれかの背中を押すことができますように。

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