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「自分を大切に」が向いてない

いま考えると、妊娠6か月の頃が体力的にはいちばんマシだったのではないかと思う。つわりの面影を感じることもなく、悩みと言えば止まらない食欲くらい。でも余裕があったからなのか、知らず知らずのうちにストレスが溜まっていたのもこの頃だった。

「規則正しい生活を」

安産祈願イベントである戌の日参りは「特に面白くもなさそうだし別にいいよね」とスルーした私と夫だけれど、役所で定期的に行われる両親学級には参加した。さらに私はかかりつけの産院で行われていた母親学級にも。

専門家から共通して言われたのは、「充分な睡眠」「適度な運動」「バランスのよい食事」「夜遅くに食事しないこと」「体を冷やさないこと」。ネットにも同じようなことが書いてあるけど、専門家から直接聞くと気が引き締まる。

私も奮起して、言われたことを実践しようと試みた。副菜を多めに作ったり、外出して歩く時間を増やしたり。初めのうちは自分よくやってるじゃん、えらいじゃん、と思っていた。が、そう長くは続かない。

まず、一緒に晩ご飯を食べたいのに夫の帰宅が23時を回るのはざらで、先に食べてしまうかギリギリまで待つか葛藤することが多かった。仕事で仕方がないことなのはもちろん分かっている。でも、その二択は一人で食べる虚しさか、夜遅くに食事をとる罪悪感どちらをとるか、ということでもあった。

いちばん寒さの厳しい折に外出するのも、基本がインドア派で寒がりだから気が向かないときが多かった。億劫な気分を奮い立たせてパジャマから着替える。些事ながら私には消耗する作業だ。でも行かなければ行かないで、「外出できなかった」といつの間にか自分を責めるようになっていた。

「自分のために良いことをしている」と思っていたからすぐには気づかなかったけれど、ストレスは少しずつ溜まっていく。

お腹はどんどん大きくなる

順調すぎるくらい大きくなったお腹が邪魔をして寝返りしにくくなり、溜め息が漏れる日々もこの頃から始まっている。夜中、体勢がつらくて目が覚める。前まで寝ながら無意識に出来ていたのに、わざわざ起きないと寝返りさえ出来なくなっている。

大きくなったお腹は起き上がるのもしゃがむのもタイツ、靴下、靴を履くのも邪魔をする。今までひょいっと出来ていたのに、足の爪を切ったあとはどっと疲れる。出先の狭いトイレではドアにお腹がつっかかることも。

妊娠線予防のためのクリームも小さなストレスだった。ただでさえスキンケアにヘアケアにと工程の多いお風呂上がり、お腹にクリームを塗りこむ作業すら嫌になってくる。かといって保湿をサボって妊娠線が出来た日には、私は自分を責めるだろうと分かってもいた(逆に、ちゃんと保湿をしたうえで妊娠線が出来たならしょうがないと思えることも)。

お腹を見つめて人類の神秘を感じる一方で、つくづく人体の設計ミスだと思う。一人分の体に二人入れようとするなんて無茶だ。

ストレスはすぐそこに

健診の付き添いもできない今、両親学級は夫が参加できる数少ないイベントで、本人は(ネットで情報を得ていたから特別学びが多かったわけではなさそうだけど)行って良かったと言っている。

産院の母親学級はそこで使っているおむつや哺乳瓶のメーカーを教えてもらったり僅かながら他の妊婦と情報交換できたりと、参加して良かったなと思う。

けれど指導を真に受けすぎるのも良くなかった。自分を大切にしていたつもりが、ストレスになっていたなんて。不器用な自分を思い知る。

ホルモンバランスが変化していく妊娠期。ストレスのきっかけは至るところに転がっていて、いかに蹴躓きやすいかを実感した妊娠6か月目だった。

次回、カテゴライズに悶々とする妊娠7か月目。

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