固いプリンと父の愛


プリンと言えば

保育園や小学校から帰ってきて、夕食までのあいだ、毎日、毎日、教育テレビを見ていました。中でも、おじゃる丸はちょうど6時頃にはじまるので
その頃になると「そろそろ、ご飯できたかな」と思うのでした。

そんなおじゃる丸を、誰しも一度は見たことがあると思うのですが
彼の好物が何だったか、覚えていますか?

「 それは、プリンでおじゃる 」

そう。
おじゃる丸は、主人公カズマのお母さんである、アイちゃんが作るプリンが大好きなのです。

プリンを家で作る、ということは少し珍しいかもしれません。けれど実は、わたしの家ではよく、手作りプリンが出ていました。
しかもそれは、父が作るのです。


父のプリン

わたしの父は料理人なのですが、家では殆ど料理を作りません。家庭料理は母にお任せ、自分はせいぜいツマミを作るくらいです。そんな父が、なぜかプリンだけはよく作ってくれました。

しかも、「プリン」といっても、おじゃる丸が食べているようなひんやりプルプルしたものではなく、ケーキ屋さんでしか売っていないような、濃厚しっとり重ための、「プディング」と呼ぶにふさわしいものでした。

恐らく父は、幼いわたしが喜ぶだろうと思って、わざと大きめに作ってくれたのでしょうが、あまりの濃厚さに、いつも数口食べるとお腹いっぱいになり、少し食べて残してしまっていた気がします。

わたしが歳を取るにつれ、そんなものでは喜ばないと思ったのか、ある時を境にプリンは作られなくなりました。

プリンよ、もう一度

そんなプリンのことなどすっかり忘れていたのですが、先日 “セブンイレブンから待望の固いプリン登場” という記事を目にし、はっと、父の作ってくれたプリンのことが思い出されました。
そして、どうしてもまた、あのプリンが食べたくなってしまい、「お父さんのプリンが食べたい」とLINEを送ると、二つ返事で作ってくれることに。

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丁度、その日は母親の誕生日でもあったので、父と一緒にプレゼントを選んで実家に帰り、家族みんなで懐かしのプリンを食べました。


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そのおいしさといったら……


作るの、大変だったでしょう、 と聞くと
「なんも、作るのだっきゃ簡単だね。蒸すのが2時間ぐらいかかるだけだ」
と言っていました。
そんなにもかかるものを、いつも作ってくれていたんだなあ。何でもないようなことが幸せだった、と最近とても感じます。


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今日から、日々あったことや感じたことを、文章にしていきたいと思っています。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。









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