焼肉は、ひとりでいいです。

永遠に続くんじゃないかと思うような15両編成の東海道線を見送りながらiPhoneで時刻を確かめる。あ〜あ、今日も終電か。呟きながら息を吸う。9月、夏が終わる匂いがする。

小学生の頃、こんな夜中に歩くのはうんと特別なことだった。「夕飯を食べたら家から出てはいけない｣という暗黙のルールがあった私の家では、何か素敵な日……例えば祭りとか、お泊まり会とか、そんなことがない限り夜の街を歩くなんてありえなかったのだ。

最終電車に乗り換えながら、そういえば今日まだ何も食べていないことに気がつく。夕飯はどうしようかな。ファミマかセブンか……。候補がコンビニエンスストアしか浮かばないなんて。泣ける話だ。

こんな忙しない日々にぐるぐる巻かれ続けているせいか、なんとなく大人になっちゃったからか、最近めっきり趣味と呼べるものがなくなった。いや、こんなことつい2年前にも言っていた気がするけど……？とにかく、夢中になれることってなかなかないのだ。

「最近の幸せといえば、美味しいものを食べることで｣

名曲の歌詞が思い浮かぶ。大学時代によく聴いていた。あの時も（分かるなあ）なんて思っていたけど、その気持ちは近年更に強くなっている。たぶんこの話は来年も再来年もしそう。まあ、とにかく、趣味と言えるものは食べ歩きくらいだ。

『いや、ご飯って一人で食べた方がおいしいじゃないですか？』
『ええ〜、、、へ、変っすね、、、』

自論だけど、一人で食べるご飯が一番うまい。
これまでの人生、正直焼肉ってそんなにおいしいか？と思っていた。一人焼肉に行って、人生が変わった。

だって、誰かと食べる焼肉って、メインは会話と雰囲気なんだもの。
相手に焼かせないぞ！とばかりにトングを持ち、絶え間なく焼き続ける。加えて会話も始まり、気づいたら焼けすぎた肉たちが大量生産されて皿に積み上がる。仕方が無いのでやや冷めたそれを順番に食べていく。
……じゃあステーキとかハンバーグとかの方がおいしいじゃん！

一人焼肉はいい。
好きなタイミングで好きな部位を焼き、好きに食べる幸せ。適切に焼けたアツアツのミノがこんなにおいしいなんて！ホルモンは相手が食べられないかもしれないから、と食べたくもないカルビを食べなくてもオーケー。こういうのがいいんだよ。

ツマミや腹の塩梅に合わせて徐々に酒の種類を変えていくのも最高。最初は生。でも、次は？
定番のハイボールもいいし、油っこかったらレモンサワーの方が好きだ。思いっきり塩分をチャージするために、あえて生梅サワーもいいかもしれない。
この部位と合わせたらどんなマリアージュが起こるんだろう！考えただけでワクワクする。一人には、それをする余白がある。

この一年間の私は、とにかく一人飲みにハマっている。

最近の幸せといえば、（一人で）美味しいものを食べることで……。あの曲を聴いていた私が知ったらびっくりするだろう。いや、意外と昔から一人でカフェ巡りとかしてたな。酒に変わっただけらしい。

先日、クライアントと打ち合わせをしていた際に趣味の話になり、何の気なしに一人でご飯を食べることが好きという旨を伝えたところ、「分かり合えないっすね」と首を傾げながら彼は言った。

「でも、そういうの、最近ユーチューブでも多いですもんね。Vlogとかなんとか。いいじゃないですか、一儲け」
「ええー、、、」

ベンチャー出身はすぐ資本主義と結びつけるから困る。

だって、知らない80歳のおじいちゃんとかと飲んでますし……。
それがいいんですよ、やってみたらどうですか！

非常に感化されやすい私、まんまとnoteを再インストールする。
過去にも少し書いてたのよね。恐る恐る、昔の投稿を見返す。丁度社会人になりたてで、自分が何者でもなくなっていくような不安から書き綴った記事たちだ。すぐやめてる所が「でしょうね」って感じだけど、まあ4日持ったのはエラい。なんとなく勿体ない気がして、これはこのまま残すことにする。

ということで、一人で飲みに行ったり、何か考えたらこのnoteを更新していこうかと思います。
目標は……とりあえず5投稿。それ以上できたらお祝いとして、その日は一人焼肉です。