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免許合宿行こ!(後編)

前編はこちらからご覧ください


無事仮免許を取得し、初めて路上に出る。

……前に、岸さんというインストラクターが車の部位について説明してくれた。トランクを開けて、スペアタイヤや工具があること、エンジンルームを開けて、バッテリーがどれで、これがこういう部分で、と クイズを交えて教えてくれた。

路上は楽しいと色んな人に聞いていた。なぜなら、景色が変わるから。

実際に路上に出てみて、自分で車を運転しているという確かな感覚があることや、免許取得への高まる期待、山が近くて、田んぼばっかりな、どこか懐かしさを感じさせるようでいて、地元とは似ても似つかぬ街並みに感動した。教習所内のコースであんなに怖かった40キロも、路上ではむしろ遅いと感じるほどだ。

しかし、そんな新鮮さもつかぬ間。路上に出るたび、楽しいという感情を失っていった。路上での運転は教習所の中よりも意識することだらけ。

以下、運転中の心境。


「対向車怖い」「歩行者怖い」「全員隠居しろ!」「今入ってくんな!」「怖いよ~」「進路変更の合図どのタイミングで出せばいいの」「永遠に分からん」「30メートル手前が目視で分かるわけないだろボケ」「死」「助けてくれ~」「スピード出さないで!!!」「ブレーキ直前でかけたらほんとに止まれるか不安になるから早めにかけてんのに怒られたんだが」「そんなん知らんて」「右折したくない」「インストラクター内で言っていることが違うやないか」「この状況の時どうすればいいの」「私に期待しないでください」「車間距離空けたくて仕方ないよ~」「俺が優先道路か」「注意力散漫になるから話しかけんでくれ」「ヒェ~~~~」「もう運転したくない」


など、とにかく運転することが嫌でした。


助手席にインストラクターが乗っていて、その時々や教習所に戻ってからフィードバックしてくれたのだが、そのたびに自信を無くした。特に進路変更、苦手すぎる。一生直進で生きていくので勘弁してください。


インストラクターが言うには「下手ってわけやないんよ。出来るんだけど、なんか惜しい。」
確かに実技系は一発で突破してきているから自信のある部分もあるにはあった。S字とか。

今思い返せば、その出来たところを褒めて伸ばして前向きにやっていったらよかったんだろうけど、あの時はとにかく毎日がつらく憂鬱で、精神的に追い詰められていた。出来なかったことばかり考えて己を責めていた。この修羅を、孤独を誰に理解してもらえただろうか…


自主経路や高速・山道教習はなんだかんだ楽しかった。クエストのようで。番号順でペアを組まされて、ペアの子のことそんなに好きじゃなかったけれど、これっきりだからどうでもよかった。交代で運転するから休めるし、私のほうができたので。(最悪)


そんなこんなで卒業検定。
卒検を受けるには、二度目の効果測定を受けて、合格しなければならない。第二段階の内容も範囲になっているのにまともに勉強しなかった。


受かった。ギリギリで。


卒検は運転だけで、これもまたペアでやったんだが、向こうがなんかやらかしていたので自信と反面教師にして乗り越えた。(最悪2)
まあ結果全員受かってたんですけどね。


卒業証明書をもらって、手続き、片付けなどを済ませてロビーでバスを待機していたら、インストラクターが全員集まってきて、卒業おめでとう、と声をかけてくれた。うるっときた。そりゃそうだよなあ!約二週間毎日顔を合わせて、担当してくれたインストラクターとはいろんな話をしたし。
岸さん、私が相手にしたくない車として「ヴェルファイア」「アルファード」を挙げたとき、「○○(私の苗字)ファイア」とイジってくれてありがとうございました。岸ファードも素敵だと思います。

結構鬱っぽくなっていた記憶しかないが、いい思い出ももちろんある。ご飯は毎食おいしかったし、きれいな宿舎だったし、とにかく人が親切だった。この教習所には感謝しかない。今回私に関わってくれた人々が、これから先も健やかでいてくれるよう、心の底から願っている。


それはそうとして、わたしをここまで追い詰めた免許合宿というシステムは滅びるべきである。こんなタイトルにしているが、時間とお金と自分の根気が許すなら普通に教習所に通って免許を取得することをオススメする。


後日談:神戸・大阪観光を済ませたのちに地元に戻って、無事免許を取得した。まだ二回しか運転できていないが、引き続き初心者マークを印籠として速度順守・マナーのある安全運転を心がけていこうと思う(中級ドライバーは慣れからスピードを出しがちなので、それに屈しない)



そろそろ運転をしないと死ぬぜ!



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