【短編】娘と餅
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「これ、食べられる〜?」
「食べられるけど……11日まで飾る決まりだから、まだ飾っとこうね。」
「はーい……。」
鏡餅がまだ食べられないと知った彼女は、残念そうにその場を後にした。
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「お餅食べる?餡子ならあるけど。」
「は?食べるワケないじゃん!1個で何キロカロリーあると思ってんの!」
「そう……、食べたくなったら言ってね。」
「だから食べないって!」
餅の恐ろしさを知った彼女は、勢いよく自室の扉を閉めた。
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今年は彼女はいないが、例年通りの正月になる予定だ。
毎年実家から届く大量の餅とみかん、冬野菜。
それらで作られる鏡餅。
開けられることの無い彼女の部屋の扉。
「あっ、お餅食べちゃわなきゃ。」
今年は、食べられることの無い彼女の分も焼くことにした。
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