見出し画像

転職物語⑦ ㋭面接とかをして内定をもらう⑴

さて、面接である。先に申し上げたように転職における書類通過率は新卒の時と比べかなり低くなってしまうから、面接の一回一回の機会が極めて貴重である。きちんと対策をしたうえで臨まれたい。

転職の時になると筆記試験も(申し訳程度に)行う場合もあるが、殆どが面接で採用の可否を決定するもののようだ。加えて面接の回数も大概1~3回位で終わるケースが多くて、新卒の時のように「六次面接」的な、不毛ともいえるほどの多くの面接をすることはない。

新卒の時の面接は、スケジュールを埋めることで他の企業を受けられなくする効果も多少はあったのではないか―と私は推測しているのだが、転職する場合は面接官もそんなに暇ではないし何度も何度も面接などしていられない。

だからこそ、一回一回が勝負になる。きちんと思いを伝えなくては、なかなか面接は通らない。そしてそういう暇のない時間を使って自分に面接をしてくれているという事にも、やはり多少は感謝せねばならないだろうと個人的には思う。

ここでもう一つ困ることがある。仕事をしながら転職活動をしている人の場合、「どうやって仕事を休んで面接に行くのか」が非常に悩ましいのだ。

転職活動をした事のある人に話を聞いたりすると、「外訪に行くふりをして面接に行っていた」とか「仮病」とかいろんな手を駆使していたようである。私は仕事帰りに行ったり、平日の代休日に行ったりと結構クリーンな手しか使わなかったから、このあたりの手段について詳しく述べられるほどの知見が正直無い。

実際元職場の方にも色々話をしたとき、「正直転職活動しているなんて思わなかったなあ」と仰っていた先輩が多かった。我ながら、結構飄々とばれぬように転職活動をしていたようである。

とはいえ辞める時にはボスが予想通りと言わんばかりの表情をしていたから、言葉にこそ出さねど態度や表情には出ていた可能性はある。

会社によっては「在職中なので調整もさせていただければと思います」と言ってくれる心優しい人事もいたりするが、大概は「○月×日来てください」と上から目線のスケジュール管理が行われてしまう。「お前が来なければ別に他のやつを取るけどな」的な態度に腹が立ったりすることが多いのだが、まあ怒っても仕方ないと適当に迎合したりすることがしばしばである。

ただどうしても難しい時は「日程上厳しいので変えていただきたく候」とか言ったりして交渉するのも一つであると思う。なんせ面接の機会は貴重なのだ。逃してはならない。丁度、A案件のお客様を逃さないようにガッチリホールドするような感じと似ている。言われっぱなしではこちらもこちらで困った事態になりかねないし、こちらも(難しいことではあるのだが)意見を主張するのも大切なことである。なんであれまず自分のための転職活動である。その点を忘れてはいけない。

何とか理由をひねり出して面接に行ったら、今度はその時に何を聞かれるのか、というところが気になるだろうが、第二新卒レベルの人間であれば99%、「会社の志望動機」「転職を何故しようと思ったのか」「これからどうするのか」は聞かれると考えていい。

会社の志望動機は無ければ受験なんてまずしないわけだが、これからどうするのか、というビジョンの部分は結構曖昧になりがちな部分だと思うので、よく練っておいた方がいい。あと、転職を何故しようと思ったのか、については、当然ながら前職の悪口を言うのはあまり印象が良くない。

例えば、あなたが見合いをしていたとして、その異性が「前に付き合っていた人がクソだったから、マシそうなあなたにする」といったらどうだろう、という話と同じである。「あなたのこんなところがいいから、あなたにする」と言われたら気分もいいわけで、会社の人事にとっても同じような現象が起きると考えてもらって構わない。

キャリアチェンジをすることが何の意味を持っているのか、自分の将来のビジョンを考えたときにどういう風にプラスなのか、キャリアチェンジをして出来ると考えられる経験は現職では出来ないのか、そう考えたのは何故なのか…と幾らでもこの部分は掘りこめる。自分なりに現職に滅茶苦茶不満が溜まったようなときに考え続けていくと、自ずと出来上がるところだろう。

こんなちゃらんぽらんなことを書いている人間なのだが、実を言うと私は銀行に勤めていた。面接をしてみると「こうも立派な銀行というところをやめてまでウチにくるの?」という話をよくされることが多かった。

別に銀行が立派かどうかというのは個人の見方によるものだし、別にあそこにある金は銀行のものではなく預金者のものだから、銀行なんか別に凄くもなんともないし(言ってしまえば金がなければ動けない集団なわけであるし)、一体凄いことなんてあるのだろうかと私は考えていたから、この人は何を言っているのだろうという目で面接官を見ていたものである。

ただ、「それでも行くのだ」という意志を示すことで、本気度が伝わりやすかったのは、転職をするときに前職で銀行にいた唯一のメリットとも言っていいかもしれない。(つづく)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?