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【育児】抱っこの終わり

育児の過程を振り返ると、「沐浴」や「へその緒の消毒」などかつてやっていたがいまやすっかりやらなくなったことや、逆に「離乳食を作る」とか「保育園にいく」など新たにやりはじめたことがたくさんある。

満を持して、前者の「かつてやっていたがいまやすっかりやらなくなったこと」になりつつあるのが、「抱っこ」である。一言で言えば、「抱っこの終わり」がひしひしと近づいているのだ。
生まれて間もないころの娘は横になるか抱っこをするかの二択で、えーんと泣いてしまったらそのたびに抱っこをするというのは当たり前のことであった。

1歳を超えてくると、娘は割とてくてくと歩くようになった、
成長は実に望ましいことだが、その一方で抱っこをしようとわきの下に手を入れると、途端に娘はネコよろしく流体のようになり、抱っこされまいとしゅるしゅるとしゃがみこんで床に張り付くような動きを見せる。
無理やり持ち上げることもできるわけだが、そこまでして抱っこをすることもないか、と思い諦めて娘から手を離すと、娘は再び立ち上がっててくてくと家の中を歩きだす。
明らかに、娘からはだっこをさせまいとする意志を感じるようになった。あっという間に抱っこは終わるといわれてきたが、本当に「もう終わっちゃうの…?!」という気持ちでいっぱいである。

もっとも、先日40度ほどの熱を出したとき(手足口病というやつだった)には特に奥さんに甘えきりで、すぐに抱っこをせがんだ。ひしと抱きついて何時間も離れなかったので、奥さんがいない時間には抱っこひもをつけて家の中を徘徊していたところ、それはもうよく眠っていた。
久々に抱っこさせてもらったが、ほかほか(というかめっちゃ熱い)娘を胸に抱いて、どこか懐かしい感覚になったものだ。

振り返れば抱っこを長いことしていて「つかれた」と思ったこともしばしばあったが、いざ抱っこすることが終わるとなると一抹の寂しさすら覚える。
「成長していく娘に、ないものねだりをしているのだなあ」と己の幼さに気づいたとき、抱っこをして夜を越した1年前の熱帯夜の日々を思い起こすのである。

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