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転職物語Ⅱ下 「新卒で適当に銀行を選んで良かった」

いざ書類が通ったところで、面接の段になると聞かれるのは決まって次のようなことだった。

「なぜ再び転職するのか」
「こうも短いスパンで動いているのはなぜか」
「どういう思いで転職をしてきたのか」

前回「転職物語」で記した1度目の転職についてはわりあい納得されることも多いが、2度目(今回の)転職についてはこれでもかと深堀りされる。

「今の会社でもできるじゃん」
「金もらいたいならもともと銀行にいたらよくね?」

などと言われる始末だ。

今の会社でできるし、そもそも銀行にいればよかったじゃん、という話もごもっともでぐうの音も出ない。まあ、もとをたどれば銀行業務がつまらないという理由でやめているので、たとえ金をもらおうがあの仕事はしたくないし、かたや今の会社では生活が上手く立ち行かないのでこちとら困っているので、この期に及んで言われてもどうにもならない。こういうときには気持ちで押すしか手はない。

同じように話しても通るところと通らないところといろいろあって、まあこればかりはご縁と割り切るほかない。会社の都合・スタンス・考え方もいろいろあるし、他の選考対象者との兼ね合いもあるから運要素が強い。

転職も就活も、いちいち落ちたくらいでへこまないことが肝要である。落ちたら次、落ちたら次、とどんどん受けていけばよいのだ。そのうちに通るものである。

日本には100万社以上会社があるという話があるから、少なくとも100万回は落ちてもどうにかなる。しかも中途であれば何度受けても大丈夫であるし、同企業への再チャレンジの道も開かれているから、実質無限に落ちることができる。

仕事に費やす時間が人生の中でほとんどになる以上、それにきちんと向き合って「自分は社会のために何をすべきか」「自分は一体何をしたいのか」といったことについてきちんと哲学をしておく必要はある。それだけに自分自身ときちんと向き合わない、哲学・意思のない転職は危険だと改めて感じる。

さて、いざ2回転職をしてみて思うのは、初めから自分のいきたい企業に行かなくてよかった、ということである。

もし学生のときに就活でメディア業界に受かっていれば転職もしていなかっただろうし、あの頃のように飢えた気持ちを持った事もなかっただろう。安寧と安心の中に安住して、つまらない人生になっていただろう。いろいろと紆余曲折を経ながら手に入れたキャリアの方が、何かと思い入れも強くなるし、何より視野も広がる。学生のころに「とりあえず」で入行したことについては、今更ながら感謝せねばならない。

なんだかこんなことをいうと転職を強く勧めているようだが、実際転職をしなくても済むのであればそれに越したことはない。なんせ転職は面倒くさい。ただひとえに「何らかの思いがあるならそこに安住するのは勿体ない」という話だ。

現状に満足するのは簡単である。「とりあえず」で入った会社に居続ける人だっているし、その環境に自分を満足させる人間もいる。そうして社会人となっていくことも一つだが、何か志があるのなら、それにぜひ賭けてほしいと願っている。

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