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中学の時に一瞬ついたあだ名が「シロクマ」だった件

出勤するときに「さみーな」と思いながら朝の道を歩いていると、家の近くに小学校があるせいか、沢山の少年少女たちとすれ違う。

少女はある程度の良識があるのでそんなことはないが、こんな寒い時期にも関わらず一部の少年は半袖半ズボンである。
シンプルに頭がおかしいのかなと思うのだが、すたこらと私の横を風のように走り去っていくさまは実に壮観である。同時に、季節感がないとはこのことを言うのである。

しかし、思い返してみると私もそんな時期があったなあ、と人を笑ってばかりはいられないことに気づく。

小学校の頃はあまり覚えていないが、中学校の頃はなかなかブレザーを羽織らず、なるべくYシャツのみで過ごし続けていた。これは別段見栄を張っていたわけではなく、当時は非常に代謝が良かったせいか、冷たい風が自分の体だけをよけて通るような無敵の感覚がそこにあったのである。

「何を言っているんだ」と思った人もいると思うのだが、これは本当である。ちょうど、激しく運動した後の冬の空気が気持ちいい、みたいな感じに近い。そんな感じの現象が当時は朝起きたときから寝るときまで常に起きていたのである。
面白がって友人からは「シロクマ」の異名を一瞬授けられたことも今になっては懐かしい。

実は私は今でもなお「薄着だ」などと言われることが多い。確かに12月頭くらいまでYシャツ一枚で会社に行っていたりしたのは事実ではあるのだが、別にこれは意地を張っているわけではなく「まあまだなんとかなるかな」と思っていたらいつの間にか冬を越しているだけなのである。

とはいえ、体育の時間なのか、体育着で外を走り回る少年少女を見ると「今あれは無理だな」と思ってみたりして、自然と寒さにあぐらをかいてポケットに手を入れて歩いてみたりする。
するとふと、小学校の先生が言っていた「転んだら危ないからポッケに手を入れちゃだめだよ」なんて言葉が頭によぎったりして、ゆっくりと手を抜いてみる。突き刺すような風に両手がかじかむ。
いやはや、シロクマは遠くなりにけり――。

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