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LISA:The Painful

制作:ディンガリング・プロダクションズ
評価:★★★★★

※ほとんどネタバレです。
避けたい方はブラウザバック。

女子供がいなくなった世紀末の世界に、突如現れた赤ん坊。
そこに偶然通りかかったジョンはその赤ん坊が女の子だと知る。
もっと良い暮らしができるように軍隊に知らせようという仲間の提案を断り、ジョンは女の子をバディと名づけ、自分の手で大切に育てると決意する。
バディはすくすくと育つが、人目を避けるため外には自由に出られない毎日に涙する日も多かった。
そんなある日、軍の一味がバディを連れ去る。仲間たちはバディを守ろうとしてくれたのか傷つきたおれていた。
ジョンはバディを追いかける。

ジョンは心や体の痛みを誤魔化すために強力な薬物であるジョイを常用している。
道中出会う仲間たちも残酷な時代の手により容赦なく命を落とすこともある。
大切なものを天秤にかけ、苦しみ抜いてたどり着いた先に、天国があるとは限らない。
やっとのことでたどり着いたバディは、ジョンは自分から全てを奪った最低な薬物中毒者だと感じており、ジョンの元へは戻らないと言う。
これまで耐え抜いてきた痛みも限界を迎え、ジョイ中毒者として異形の者へと変化したジョン。
一体彼は、バディはどうなってしまうのか。

LISAシリーズ第二弾の本作は、前作からゲームシステムもグラフィックも大きな進化を遂げている。
破滅的な世界観、凝ったピクセルアートが好きな私はあっさりとハートを掴まれた。

このゲームの1番の特徴は"あっけなさ"だと感じた。
崖から飛び降りることができてゲームオーバーになる、何の前触れもなく仲間が死んだり、自分の元から去ったりする、腕を両方切り落とされる…など初めから決まっていた運命なのか、自ら選び取ったものなのか曖昧になるほど、あっけなく大きなイベントが過ぎ去っていく。

それはラストに訪れるバディとの再会にもあらわれており、これだけ苦労したにもかかわらずあっけなく最低と罵られる。
この世界では期待を捨て去る必要があるとそこでようやく思い知らされるのだ。

私はこのシュールなあっけなさが、このゲームの世界に流れる時代の厳しさや、常識を美しく表現していると感じた。

いいんですか!私は遠慮しませんよ!