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献血チャレンジの日々

献血によく行きます。
趣味だと思うんですが、人にそう説明すると「え?」って顔をされることが多いので毎度表現に迷います。うーん。難しい。などと考え始めて早数年。まあでも多分、1番近い表現は「献血が趣味」。
血が苦手だったり、そもそも献血ができない人には「よくわからない」と言われるので、少数派かもしれません。

さて、今回は要約すると「私は献血に全力です」という話。
ご興味ある方もない方も、ちょっと約束まで時間空いちゃって暇なんだよねってな方も、よろしければ。

はじまり

初献血は高校1年生の時。誕生日の数日前に行ってしまい「200㎖の献血は16歳からなので、まだできないんです…」と言われたのでよく覚えています。
せっかく来たけど、そう決まってるならしょうがないね、と諦めムードの私。かたや「この子こんなに背も大きいし血が有り余ってるんですけど、ダメですか?」と粘る母親。今でこそ笑い話ですが、よく考えたら年頃の娘にその言い方はどう???
その数日後に再チャレンジし、無事初めての献血を終えた私は以来、タイミングがあうと母親と献血に行くようになりました。

地元を離れたばかりの頃は何かと忙しく行っていませんでしたが、ここ数年、献血への熱意がすごいと家族内で評判です。熱の注ぎようがちょっと他の人とは違う。
え?どうしてって?よくぞ聞いてくれました。
何故そこまで献血にお熱なのか。それは、献血できなかったことが何度もあるからです。

皆~~~~~!!!献血できなかったこと、ある~~~~~?

「何度も献血できないなんてことあんの?」とお思いの皆さん、あるんですよ。 日本赤十字社公式HPにも書いてありますが、体調不良や妊娠中の方、予防接種を受けたばかりの方など、お断りされる条件は色々あります。 私がよく引っかかるのはヘモグロビン濃度。おそらく一般的に献血へ行こうとする人間が引っかかることは少ない項目です。初めて引っかかったとき職員さんが「え?」って顔してたので。

職員さん「えっと…ヘモグロビン濃度が低いので、献血できません」
私「ほ……?」

予約して意気揚々と献血センターを訪れた私は、この時初めてヘモグロビン濃度のことを知りました。
2023年4月現在、400㎖献血をする場合はヘモグロビン濃度が女性で12.5g/dL以上、男性で13.0g/dL以上ないといけません。
地元にいた頃はそんなこと言われたことなかったし、まさかそこで引っかかるとも思っていなかったのでびっくりですよ。
はじめて引っかかったときの数値は覚えていませんが「健康上問題ない数値なんですけど、献血するときは12.5以上必要なんです」と言われたので健康面的には一応問題なし。何も悪くないのに何度も謝罪する職員さんに見送られながら献血センターをあとにしました。

私こんなにやる気に満ち溢れてるのに献血できないんですか!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!

何の気なしに来ていた献血ですが、献血しようという気持ちが行き場を失う感覚のなんと虚しいことか。

悔しい。あまりにも、悔しい。

思えば実家では母が毎日美味しい料理を作ってくれていたのでバランスよく栄養をとれていたのでしょう。
それが一人暮らしを始めてからというもの、一応ご飯を作りはしても基準は“不味くなければOK”。栄養バランスなんてほぼ考えたことがありません。「野菜を食べよう」とぼんやり思いつつ食べる野菜はいつも大体同じ。鉄分が取れる食べ物を2~3思い浮かびはしても積極的に食べる訳でもない。
そりゃあ検査で引っかかるわけです。

献血、してぇ……!!!

その後もたびたび献血センターへ行くものの、なかなか成功率は上がりません。グラフの基準値ラインギリギリ下を永遠に彷徨っています。

成功したとしても職員さんを困らせるのが私の腕。どうやら血管が細い上に奥の方にあるらしく、難易度が高いんだとか。針を刺す場所は一般的な箇所からずれることがほとんど。おかげで奥からベテラン職員さんが出てこない日がありません。毎度お世話になっております。

さて、ならばせめて、献血する日の前後だけでも鉄分ばっちり健康人間になってやろう。
という気持ちのもとで考えたのは「どうやって鉄分を取るか」ということ。鉄分豊富な食材の代表例はレバー、赤身の肉、ほうれん草などですが、基本面倒くさがりの私はそれらをどう調理するか考えるのすら面倒だったので、たどり着いたのは鉄分摂取できる飲み物。自分の性格を踏まえるとそれが1番シンプルで性に合っていると思いましたし、実際そうでした。

ヘモグロビン濃度「それだけでいけると思った?」

鉄分摂取ばっちり。今回は勝ちですわ、と献血センターに向かった私が見た現実がこちら。
“ヘモグロビン濃度12.4”
職員さん「ヘモグロビン濃度が12.5以上ないとできないんですよ…でも健康上は問題ない数値なので!」
私「ウィッス」
どこかで聞いた台詞に今度は涙も出ません。

次こそはと意気込んだ次の回はこちら。
“ヘモグロビン濃度11.9”
下 が る な。
職員さん「ヘモグロビン濃度が12.5以上ないとできないんですよ…でも健康上は問題ない数値なので!」
私「ウィッス」
毎度同じ説明をしてくれる職員さん方に申し訳なさがこみ上げます。あまりにも悔しい。
身体よ、何故私のやる気についてこないのだ。

三度目の正直だ頼む。と願ったまた次の回がこちら。
“ヘモグロビン濃度12.6”
やったーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!
たった0.1、されど0.1。基準値以上ですから献血ができます。
おめでとう私。ありがとう私。これでやっと献血ができる。

職員さん「血の出が悪いので、ここで止めますね」

え????????????????????????????

私の気持ちが追いつく前にテキパキと外され片付けられていく管やらなんやら。まだ100㎖も取っていません。
過去にも血の出が悪く止められたことはありましたが、その時は200㎖は取れていました。

……え?????

私「あの……血管の細さって鍛えてどうにかなったりするものですか?」
職員さん「血管の細さは骨格と同じで生まれ持ったものなので、どうにもできないんですよ~」
私「ア……ナルホド……」

思わずそんなことを聞いてしまいました。これには職員さんも苦笑いです。

私がしおしおのピカチュウよろしく悲しんでいると、職員さんは「春とか夏のほうが、暖かくて血管も開くので、その頃また、ぜひ!」と励ましてくれました。なんて優しい……
でも違うんだ職員さん……私は年がら年中季節を問わず献血に行ける人間になりたいんだ……

しかもこれ何が1番悔しいって、針を刺して少しでも血を抜いたら献血したことになるんですよ。
献血するとポイントが貯まるんですが、血を100㎖も取っていないのにポイントが貯まるんです。

こんな悔しいことがあるか!?!?!?!?!?!?!?!?!

飲み物が飲めるのも、場所によってはお菓子等が食べられるのも、血という代償を払っているからこそ。なのに献血センターの人たちは“世界で最も優しい人たちトップ5”に入る(私調べ)もんですから、100㎖も取れなかった私にも「血を抜いているので、飲んだり食べたりしてくださいね」と言ってくれるのです。涙が出そうでした。

もう1回考えようね

あまりにも悔しくて更に考えたどり着いた結果がこちら。
1.鉄分補給できる食材、飲み物を積極的に摂取する。
2.よく寝る。
3.しっかりご飯を食べる。
4.暖かい恰好をする。
1と2に関しては「え、そんなこと?」と思われるかもしれませんが睡眠も食事もめちゃくちゃ大事。献血行く行かないに限らずだけど。

いざ行かん

気合を入れて挑んだ次の回。
8時間寝て、朝ご飯も昼ご飯もしっかり食べて、熱すぎない程度に温かい恰好をして、献血センターに来てすぐ暖かい飲み物も飲んだ。ここまでは完璧です。
相変わらず血管は細いし奥にあるので、奥からベテラン職員さんが現れました。いい加減“面倒な腕の人リスト”に入っていてもおかしくない。
両腕とも見てもらい、いざ検査。

“ヘモグロビン濃度12.9”

ッッッッッッッッッシャ‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼

大勝利です。ここ数年で1番高い数値ではないでしょうか。感動の余りガッツポーズしそうでした。危ない危ない。
腕をタオルで温めてもらいなら献血する台へ。足の運動もしっかりやりながら、針が刺されるのを待ちます。
私は針が刺さるところを見ていられるタイプです。ガン見しすぎて「看護の学生さん?」と聞かれたことがありますが全く違います。
さあ、針が刺されました。最悪の場合、この時点で血の出の悪さが明らかすぎて職員さんに渋い顔をさせてしまいます。
が!!!!!!!!なんと!!!!!!!血はあっという間に管を通っていきます!!!!!!!ヒュウッ!!!!!!!!!!!
よく行く献血センターは献血中、目の前にあるタブレットでYoutubeを見れたりします。のんびりTHE FIRST TAKEをみていると、職員さんに声をかけられます。

職員さん「はい、終わりましたよ〜」

え!?!?!?!?!?!? もう!?!?!?!?!?!?!

ちゃんと献血出来たのが久々すぎて一瞬でした。
時の流れ、いつでも、駆け抜けてゆくから……

っていうか400㎖献血できた~~~~~~!!!!!!!!!! やった~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!

大勝利です。3回連続失敗し続けた私、おめでとう。ついに400㎖献血、特に職員さんたちを困らせることなく終われたよ。めでたいね。
その後は10分以上ロビーで休憩し、体調に問題がなければ終了。その間は飲み物飲んだり場所によってはおやつを食べたり、パラダイスです。
その日はあまりの嬉しさに家族にも報告しました。

ちなみにヘッダーは貯まったポイントで引き換えたカイロです。これから暖かくなるというのに前々から気になってたのもあってつい選んでしまいました。

献血できる人は選ばれし者だと思う

献血できる人はマジで選ばれし者だと思っています。だって誰でもできるわけじゃないから。
私のように己の生活面もあって数値が足りずに断られる人間もいれば、そもそも貧血気味だったり病気を患っていたりする人もいる。かたや「数値で引っかかる? 血管が細くて断られる? そんなことあるの?」ってくらい健康な人もいる。
もちろん「針刺されるの苦手」とか「血が苦手」とか、色々あると思うので無理に行こうとしなくていいんですが、もし貧血や低血圧とは無縁で血管が細いとか奥にあって難しいなんて言われたことがなく、少しでも「行ってもいいかも」と思ってくれる人がいたら、行ってみてください。

献血も献血センターへ行くのも楽しいですよ。

献血について/日本赤十字社

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