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あたしを作るものたち 5

初めて観たのはいつの事だったかはもう覚えていないけれど、中学生くらいで、多分金曜ロードショーとかだったんじゃないかなぁと、思う。
たぶん、その頃からあたしは何もかもが完璧な幸せで終わるようなハッピーエンドよりも、救いようの無い話や、最悪の中の最善を問うような物語が好きで、だからずっと覚えてるんだと思う。

巨匠、クリント・イーストウッド監督の『パーフェクト・ワールド』。
多分人生で一番観ている映画だと思う。

舞台は60年代のアメリカで、田舎の頑固で不器用な警察署長のガーネット(クリント・イーストウッド)と、不器用な脱獄犯のブッチ(ケビン・コスナー)が主演のロードムービー。
でも、犯罪ものとか、サスペンスとかっていう感じの映画ではなくて、ヒューマンドラマ。

ガーネットのブッチに対する思いや、ブッチと人質にしている少年との関係をみていると、家族や愛について、何が正しいのかを考えさせられる。
だって、ブッチは凶悪犯ではあるけれども、多分少年にとってはそうではなかったし、自分たちをもてなしながらも子供に手を上げる男にブッチが怒り狂った時には、あたしにはブッチは怯える少年のように見えた。
法を犯しているからといって心が無いわけでもないし、他人をもてなす優しさがあるからと言って家族にも優しいわけでもない。
とても難しいし、心の傷はどんな人でも簡単には消えない。

全編を通して決して幸せではないし、救われはしない。
最後の最後も、本当に救われなかった。
ブッチが探していたパーフェクトワールドなんてどこにもないし、そこに行こうとしてたというのも何だか悲しくなる。
ガーネットのあの苦しいような表情も、やりきれない感じも本当に切ない。
事件は解決しても、何もスッキリはしないそんな映画。

でも本当に、クリント・イーストウッド以上にあんなに不器用な男を演じられる人なんかいないんじゃないかと思う。
パーフェクトワールドが好きな人は『ミリオンダラーベイビー』『グラン・トリノ』なんかも見て欲しい。
クリント・イーストウッドがとても良い頑固な不器用ジジィを演じている。
そして完全なハッピーエンドとは言い難い終わりかた。
これぞクリント・イーストウッド。

あたしの大好きな映画。

おわり。

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