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2023年の掲載短歌

『ねむらない樹』 vol.10 テーマ「電」もしくは自由 内山晶太選

粉々になったわたしでモロッコの砂漠に飛んでいく眠るから

毎日歌壇 加藤治郎選

さざ波ができたり影を浮かべたりきみの顔は絶え間ない湖
(4.18)

毎日歌壇 水原紫苑選

丘に立つ美術館には窓があり水平線が絵画のような
(3.27)

水底のように見た夢 制服の代わりに青い服を着ていた
(4.3)

振り向けば教会の戸が切り取った鮮緑の生け垣の明るさ
(7.11)

西へ西へ旅人はゆく 太陽にその身を長く晒せるように
(11.14)

湖のそばで暮らしていつの日かわたしも誰かの水源になる
(12.12)

東京歌壇 東直子選

はためいてこそ旗だから強風の日にもせいいっぱいの背伸びを
(2.5 一席)

友達に早起きを強制されてうれしい眠さまぶしい会話
(2.12)

二人組ばかり来ていてこの世界にたったひとりでチーズナン食う
(5.7)

三年も会わない友に絵を送る 乾いても絵の具は匂いたつ
(8.6)

問いかけが包み隠した優しさに気づく速度で黄身流れ出す
(11.26)

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