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2022年の掲載短歌

57577展 テーマ「町」 鈴掛真選

半分のわたしはきっと喧騒の旧市街をまだ彷徨っている

毎日歌壇 加藤治郎選

他者に紐づけられているおそろしさ 双子のパンダを見ずに帰った
(6.14)

暗闇にズームしていくだけの夢 街は遠くのサイレンで満ち
(7.4)

「てきとーに生きればいい」が口癖の父と見た羊の毛刈りショー
(7.12)

ほろほろと眠ったままの指うごくピアノをじょうずに弾いているのね
(9.26 一席)

成績のことで娘を叱ってる人の横にも寿司は流れる
(10.17)

気づかれないほどに静かな入店後、そっと窓際の席につく
(11.7)

近況を訊かれたら言うつもりだが誰にも訊かれずひっそり無職
(11.15)

東京歌壇 東直子選

結婚に興味がないと明かさずにひとの息子を愛でる昼中
(7.3 一席)

友だちが友だちの髪に触れたのだ わたしは夏の足取りを追う
(8.7 一席)

植物園の年間パスを持っていたころの日記の筆跡さみしい
(9.4 二席)

ベランダも強風の日はさみしそう夏のケットが派手に揺れてて
(12.18)

『ねむらない樹』vol.9 テーマ「許す」もしくは自由 永井祐選

わたしでもわたしを許せることを知る茄子のキャビアを作る過程で

あなたとよむ短歌 vol.30 テーマ「食べ物」 柴田葵選

ちまちまと葡萄を食べて笑われる 井上さんはケバブが似合う


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