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絵本の裏側 7

男の子はふと、上を見上げてみました。
自分が大きな木に囲まれていたことに気が付きます。

怖くないかも

オヒルギの根っこに注目したり、 ”とんがりの貝” を探した地面。
すばしっこい生き物を探しまわった幹。
そして、見上げた頭上の枝。
好奇心のまま見てきた断片的な景色が、繋がっていきます。

うわぁぁ...
おおきなき だったんだね。

大きな木に囲まれていても、もうあまり怖くはありません。
むしろ、木に守られているような、ちょっとした安心感を感じながら、まじまじと木を眺めています。

年輪

実際のオヒルギの木の高さは15~20mほど。
地上にある大木ほどではありませんが、男の子にとってはとても大きく感じられます。

いったい なんさいなんだろう。

年輪を数えると木の年齢がわかると言われますが、一年を通して温暖な沖縄においては、あまりあてにならないそうです。
はっきりとした年輪は寒暖差によってできるからです。

過去の写真から、約70年前にはすでに存在していたということまではわかっています。
男の子の素朴な疑問は、実はなかなか難しい質問です。

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カラフルな枝

頭上の枝を眺めていると、葉っぱの緑以外にもいろんな色があることに気が付きます。

赤色の木の実?
赤いタコさんウィンナーのようなものが見えたなら、それはオヒルギの「がく」の部分です。花びらが散ったあと、このがくの部分から次の子孫となる、苗が伸びてきます。(実生苗についてはコチラ
地面にも役目を終えたタコさんウィンナーが落ちています。

個人的な大発見をひとつ。
落ちたタコさんを拾えたら、ぜひ試してみてください。
なんと、ウィンナーぽいのは見た目だけではありません。
落ちてから少し時間が経っていそうなものを選んで嗅いでみると…
ふんわりと魚肉ソーセージのようなにおいがします。

黄色の葉っぱ
緑色の葉っぱに紛れて、黄色い葉っぱがあちこちについています。
これは、古い葉っぱ。まもなく地面に落ちてきます。
そして地面に落ちるまでの間にも大事な役目を担っています。
余分な塩分をこの黄色の葉っぱに貯めて、葉っぱを落とすことで塩分排出をしているそうです。
落ちた葉っぱは地上のカニたちに人気で、持ち帰ろうとしたのか、巣穴に葉っぱが刺さっていたり、かじった跡もたくさん見ることができます。
私も真似してかじりましたが、苦しょっぱい味がしました。

ふしぎな森をじっくり探検していくと、タテにもヨコにもいろいろな生き物の繋がりが見えてきます。

〈本編 P.7-8〉

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