拭えない恐怖

YouTubeで怖いCM動画がある。
内容が不気味、音楽が恐怖を感じる、尾ひれがついた都市伝説、
内容は様々。伝えたいメッセージよりも演出や効果の方が強く出てるのだからすごい。製作陣の本気度が伝わってくる。

とは言え、抱く感情が恐怖となると話は変わってくる。2度と見たくない映像なのだから。でも、つい見てしまう怖いもの見たさは何とも言えない好奇心をそそられる。例えるならエイリアンが現れた宇宙船内に空いた穴を見つける。よく見ると周囲に奴のネバネバした体液が付着しており、ついさっきまでいた形跡だ。明らかに近づいたりするのは危険なのに、つい手を伸ばしてしまうと言ったところだろうか。(その人は大体最初の犠牲者。そしてネタが古い上に分かりづらくてすみません)

実は私には子どもの頃から未だに恐怖を感じているCMがある。伝えたいメッセージや内容を理解し今は何とか見れるくらいまでにはなったが、今でも怖いものは怖い。そのCMはこの手の話題でよく登場するACジャパン。団体名がまだ公共広告機構でロゴもACではなくハートのような鳩の形だった頃のCMである。CMのタイトルは「しらんぷりもいじめ」でその名の通りいじめをテーマにしたものだ。「無関心の仮面をはぎ捨てる勇気を持とう」と言うのが伝えたいメッセージ。つまり。もしあなたがいじめを見かけたら見てみぬふりをしないで、勇気を持って止める!もしくは先生とか大人に伝える!ということになる。でもそんなことしちゃったら今度は自分が標的になるんじゃ…と言う疑問は一旦置いておくとして、そんなメッセージが込められたCMとなっている。

テレビCMでは最初、白い仮面をつけた学生服姿の男子中学生のアップから始まる。徐々にカメラがズームアウトしていき同じ仮面をつけた中学生たちが多数現れる。まさに「無関心の仮面」である。最終的には最初アップで写っていた中学生が仮面をはぎ捨て、周りもそれに追従しみんな仮面をはぎ捨てると言う展開になる。テーマ曲で採用されたのは本田美奈子さんの「HELP」と言う曲。

概要はこんな感じなのだが、ただ…この仮面がとても不気味で恐怖心を掻き立てられるのである。その不気味な仮面がアップで始まり多数になるのだから、もはや恐怖しかない。子どもの頃これを見た瞬間、泣きながらどこかに隠れて終わるタイミングを見計らって出てくると言う状態だった。当時はそのCMが伝えたいメッセージを読み取ることも考えることもできず始まった瞬間にただただ逃れる事しか考えられなかった。

そのCMが流れていた時からだいぶ経ったある日の事。私は小学校高学年になっていた。その頃はもうロゴもACに変わっていた。ところがある日思わぬ形で再見することになる。当時早朝に昔のアニメの再放送をやっていていることを新聞の番組欄で知り、ちょくちょく見ていた再放送でやっていたアニメは「オバケのQ太郎」その番組には提供がついてなかったので、CMはすべて公共広告機構になる。(諸々の事情で番組に提供がつかないとこの現象が起きる。知ってる人は大多数だと思うけどこれ豆知識な!)

その時に放送されていたCMは最新と少し古いものが混ざっているパターンだった。昔のCMを見て若干懐かしさを感じたりと完全に油断していたその時、画面にあの仮面が現れたのである!小さい時の恐怖だった記憶が一瞬に蘇り、早朝に悲鳴を上げ、お弁当の準備をしていた母のもとへ一目散に駆け込んだ。何も知らない母はびっくりしていた。それ以来、朝のアニメは見れなくなった。

そのCMを見たのはその時が最後だったと思うので、その後はYouTubeで動画を探すくらいしか方法はないと思われる。怖いCM、トラウマCMはおススメ動画で上がってきてつい見てしまう。その時にこのCMも流れることがあり、見ると未だに鳥肌が立つ。我ながら余程強烈なインパクトと恐怖を植えつけられたのだろう。この手の動画がおススメに挙がってこないことを祈るばかりである。

ちなみに少しでも興味を持たれた方。調べたり動画を見るのは自己責任でお願いします。これ以外にも公共広告機構のCMは多くの人に恐怖を植えつけた作品(ACジャパンではCMを作品と呼んでいる)が多数存在するので、これがヤバかったみたいなものがあればコメントをください。

最後に今回取り上げたCMの情報。制作年は1986年だそうです。
出典:https://www.ad-c.or.jp/campaign/search.php?page=10&sort=businessyear_default&period=8

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