文化祭で起こった謎現象

私は絵を描くのが苦手だ。と言うか下手だ。
昔とある子ども向け番組で絵描き歌で書かれたキャラクターが、
各方面で話題になったことがあったが、それを彷彿とさせるくらいの腕前だ。そういえばバラエティ番組で、絵を描くコーナーやらクイズでその手の問題が出たりすると、うまく書けないタレントさんを「画伯」と言って、いじり倒すのが通例になっているが、私は間違いなくいじり倒される側の人間だ。

子どもの頃は文化祭で作品を出さなければならなかったので、絵を描くのにはすごくストレスがかかった。真面目に一生懸命、真剣に取り組んでいても、出来が出来なので先生にやいのやいの文句を言われ怒られる。あの時間は本当に嫌だった。とにかく早く終わらせて完成させることを最優先に考えていた。受難は続く。文化祭当日に当然母がやってきて私の作品を見る。そしてまたあれこれ言ってくるのだ。「あれがおかしい、これがおかしい」と。完成してるからもう修正しようがないのに言ってくるから、もはや泣くしかない。

そんなこんなで最悪の中文化祭は終了する。その後先生たちはいくつかの作品を県のジュニア展に出展する作品を選ぶのだ。当時の校長先生が美術専攻の先生だったらしく(たまに作品制作の場に来て優しくアドバイスをしに来てくれていたりしていた。さらに退職後は自身の画廊をひらいていた)その選別に携わっていた。そしてなぜか分からないが私の作品が選ばれてしまったのだ。何かが校長の感性に触れたらしい。

いろんな人にボロクソ言われ、最低のモチベーションで完成した私の作品が、人によっては評価されるのだから驚きである。芸術って奥が深くてよく分からないものと思った。未だに何が良かったのかも分からないし、もう知る由もない。ただ一つ言えるのは、あれだけいろいろ言っていた母が、喜んでわざわざ展示されているジュニア展の会場に見に行ったことだ。嗚呼手のひら返し。

小学生の頃の謎が残るお話。

ちなみに私に絵を描いてって言わないでね!絶対描かないからね!フリでも何でもないよ!意志は固いよ!

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