KICK BACK MV感想

結論から言いますと、「飲まないボイラー・メーカー」です。ボイラー・メーカーというのはカクテルの名前で、ショットグラス1杯分のウイスキーをビールで割る飲み方。高アルコールのウイスキーをビールで割るということでアルコール度数はそれなりに高く、その割にビールの喉越しを求めてぐいぐい飲んでしまうため一気に酔いが回る。ウイスキーの香りが鼻を抜けていくのは至極。ビールとウイスキーが好きな僕には最高の飲み方というわけです。お手軽に酔っぱらえるところもその一因。

何が言いたいかというと、僕は米津玄師も常田大希も好きなのでそりゃ最高になりますよねって話ですよ。好きな酒で例えるならビールとウイスキー。好きな金カムキャラで例えるならヴァシリ・パヴリチェンコと尾形百之助。すみません言いたかっただけです。

そう、常田さんが米津さんのMVに出るってだけで僕は舞い上がって喜んだはずなんです。それが霞むくらいのMVでした。


ツッコミが間に合わないMVをツッコみたい

最初は米津さんの目元がアップされて曲が始まります。この時点で「お? なんかかっこよさげ。ピースサインMVみたいなイメージかな」と僕は思いました。KICK BACKのタイトルが出てきた辺りからどうやらそうでもないぞと思い直す。なぜなら米津玄師がめちゃくちゃ筋トレする姿を見せつけられるからである。米津玄師が筋トレ。この時点でだいぶキャラ崩壊が激しい。

POP SONGでもだいぶキャラが違うように見えたが、それは見た目の話でかなり米津玄師らしいと思っていた。それとは一線を画すキャラ崩壊具合。

MVで歌詞に合わせたように洗濯機や自販機が出てくる。過去にそれらが出てきたorionや春雷を連想したりもしたが、あの儚げで美しい恋の雰囲気なんぞ無縁の世界観。というか本当に同一人物が作った曲なのか? そこから疑いたくなってくる。自販機から出てきた缶飲料は事前に振ってあったかのように吹き出す。なんでだよ。自販機に表示される数字は「4443」。

めちゃくちゃ筋トレしてジャバジャバこぼしながら水を飲む米津玄師。全部の飲料こぼさないと気が済まないのか?

そして現れる常田大希。無表情に、片手でジムにあるタイプのでかいダンベルを持ち上げる。それを見た米津玄師の「ハッ……!」という顔。間接的に己の負けを認めてショックを受ける男の表情なのが、目が前髪で隠れて見えなくても分かる。とてもわかりやすい流れと構図。この面白さが文章化することで死んでいくのがつらい。
米津玄師、再び猛烈に筋トレしだす。
バトル少年漫画の主人公とそのライバルでしかない。努力しまくる主人公と、なんというかキザですかしたタイプのクールなライバル。古典的か? めちゃくちゃジャンプを感じるぞ。

めちゃめちゃに筋トレしまくる米津玄師を見せられめちゃめちゃプロテイン飲む米津玄師を見せられる。アニメーションで腕がムキムキになるのを見て「こうなりたい! っていう理想の姿かな?」と思っていたら、次の瞬間に煙の中から腕の肥大化した米津玄師が現れる。僕の腹筋が限界になる。そんなキャラじゃないですよね??? 徹底させられたギャグを感じる。その腕で虚無顔ともドヤ顔ともとれるような無表情する?

すげー格好良くサンドバッグ殴る常田大希の隣に行き、ワンパンでサンドバッグをぶっ飛ばしその先にある鏡を破壊する米津玄師。おそらく渾身の「ドヤ!!!」であっただろうに、常田大希は見向きもせずクールに立ち去る。「え?」という顔で呆然とする米津玄師。

常田大希がランニングマシーンに行くのを見た米津玄師は、肥大化した腕を脱ぎ捨てて同じくランニングマシーンへ向かう。え? それ脱いじゃっていい設定なの?? 

ランニングマシーンで走る米津玄師。なぜかジムを飛び出して風力発電の風車が見える草原に。ジムの背景になってるハリボテ映っちゃってるけどそれもいいの??

今まで曲と無関係に振る舞っていた米津玄師がここで曲に合わせ歌い出す。急にカメラ目線になり、「あなたのその、胸、の、なぁぁぁぁかぁァァァァ〜〜〜」バーン。こんな面白い事故シーンある??? すげえ形相で歌う米津玄師がトラックではねられてるってだけでもう何故か涙出るほどおもしろ可笑しい。嘘です初見は怒涛の展開すぎて言葉を失った。宙を舞う米津玄師に見せかけた人形。人形でしかなかったのに着地したら米津玄師だった。ちょいちょい「これはダミーだよ!!」を挟んでくるのが展開のすべてをギャグにする。

走る米津玄師。赤いスタイリッシュな車でそれを追い抜いていく常田大希。米津玄師がずっとコミカルなのに対して、常田大希がずっとシリアスでクールな様子という対比が面白さを際立たせてくる。

貨物船に乗せるようなコンテナだらけの場所でパルクールしだす米津玄師。なぜか増えてくる米津玄師。まあ米津玄師が増殖するのは米津MVあるあるだしな……とか思ってたら全然知らねえ外国人だった。誰だお前。

めちゃくちゃ増えた米津玄師もどきの軍団に走ってくる本物の米津玄師。すっげえ勢いで先頭の外国人突き飛ばして謎に用意されたゴールテープを切って謎に置いてあるランニングマシーンに戻り、場所は最初のジムに戻る。曲はここで終わる。

ああ終わったな〜という、安堵というか一息つくような気持ちで残りのMVを眺める。米津玄師の隣のランニングマシーンに現れる常田大希。米津玄師は彼の方を見て、「あの、つ」まで言って画面が防犯カメラ映像に切り替わる。映しているシーンは米津玄師が常田大希に話しかけているシーンなのは変わりないはずだが、米津玄師は誰もいない隣へ向かって話しかけていた。
なんで急にホラーテイストなの???


MVにしか言及してないのにこの有様

本当は曲と絡ませて書きたかったが、そこまでの余裕がないくらいの急展開が徹頭徹尾貫かれるMVだった。頭がおかしいとか狂ってるとか意味不明、カオスと言いたくなるがむしろそれらが全部気持ちいい。若干怖い雰囲気も醸してくるところがとても米津玄師を表していると思う。
そして常田大希。彼にクールでカッコイイキャラを与えたところに彼へのリスペクトを感じたりもした。逆に米津玄師がギャグに振り切っているところは、ずっとギャップから面白さが出てくる。


曲、一切触れられなかったのでCDで聞いたらまたKICK BACKのnoteを書くかもしれません。とりあえず最高でした。
是非ともみんなに見て聞いて楽しんでもらいたい。




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