ワルツ

音楽を聴いているとき、その曲で踊る二人組を、よく思い浮かべる。
その二人組は自創作のキャラクターであることが多い。二人並んで踊っていたり、あるいは手を取り合って踊っていたり、曲によって様々だ。

米津玄師の「Pale Blue」を聴いているとき、その二人は途中から互いの手を取り合い、くるくると回るように踊り出す。

それが、ワルツ(円舞曲)であることをあとから知った。
音楽をネタに、とても面白い文章を書くのでよく読みに行くブログがある。それを読んだことで分かったことだった。

あなたの腕 その胸の中
強く引き合う引力で

曲調がワルツに入るときの歌詞。手を取り合って抱き締め合うような情景が浮かぶ。
ここに「引力」という言葉を使うのがとても印象的だった。


ワルツを踊る星

たった二つだけで公転し合う、褐色矮星がこの宇宙にあるという。
2013年に発見され、NASAはその二つの星の他に一緒に踊る星を調査していた。しかし調査の結果分かったのは、その二つの星には互いの引力しか影響がないということだった。

その公転し合う軌跡は、まるでワルツだ。

引力という腕で互いをつかまえ、他の星の重力の影響を受けることなく、二つの星だけで回っている。

これを知ってすぐさま思ったのは、米津さんはこの星を知ってこんな歌詞にしたのだろうか、それとも知らず、ただの偶然なのだろうか、ということだった。

どちらにしてもすごいと思った。
互いだけの引力で回っている星なんて、果てしなくロマンティックだ。そのエッセンスを「引力」という言葉と「ワルツ」でこの恋の歌に潜らせる。
意図されたものであっても感動的なのに、これがもし偶然だとしたら、そのセンスは宇宙の奇跡と言いたいほどのものだ。

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