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【読書】名称未設定ファイル

ネタバレあります。ネタバレしないで読んだ方が絶対絶対おもしろい。


素直な感想「怖えぇ」
恐山さんのことインターネットで見える面しか知らないけど、生死観になんとなく共感するところがあるなと思ってて…。この小説にも「存在」に対する考え方みたいなものが色濃く出ていた気がする。
私はタナトフォビアとアペイロフォビアの無限地獄人間なので怖かった。下手なホラーなんかよりも怖いと思った。

でも、前向きに捉えるのであれば、こういう考え方や表現に触れられるメンタルの時は、触れていった方がいいなぁと。私の他にもこういうこと考えている人っているんだな、怖くないのかなぁ、って共感できれば多少恐怖は薄れる。


恐山さんの本の感想を書きたいのだけど、書けない!この方、言葉にして説明できない気持ちや違和感を、物語に乗せて伝えるのが上手すぎて……本に書かれていること以上の言葉が見つからない。
しかし、記録は残しておきたいので、思ったことを書いてみようと思う。

好きな話は「過程の医学」「ピクニックの日」「GIF FILE」「最後の1日」


・過程の医学
怖い。恐山さんは反出生諸々の話を別の本でも書いていると思うけど、これも結構その色が強かったように思う。
実際どうなのだろうね、そんなことわからないかもしれないけど。いや、自分の考え方次第としか言いようがないかもしれないけど。生まれてきたからには進むしかないので後ろ向きに考えるより、前向きに考えるほかないけど。……そんな風にぐるぐる考えてしまった。
(この話を読んで、米津さんのアイネクライネの歌詞の一説を思い出してしまった)


・ピクニックの日
怖い。私は幸せな時間の中にずっといられるなら、それが幸せであり続けるならそれでもいいのかな。そんなこと「わからない」それが怖い。


・GIF FILE
怖い。私のアペイロフォビアが爆発した。こんなのってないよ~。でもどんなに絶望の最中にいても、きっと希望はあるんだと思う。この話の主人公が、願えば、思えば通じたように。きっとGIF FILEの外側の人間が救ってくれるよ…。データを削除したり……あるいは、もっと幸せな展開の動画になるように書き換えてくれるかもしれないよ…。人類には、幸せなデータをいっぱい作ってほしいです。


・最後の1日
怖い。そして私はこの主人公と境遇が似ている。人権ないんですか。そんなことないですよね。生きててもいいはずだ。ちくしょう…。でも気持ちがわかる。短編小説なのにこんなに人の人生や心境が分かってしまう。「虚」の書き方が上手すぎて怖い。
でも!私は概念的な恐怖症を持ちながら、ポジティブに考えるのも得意なので!この主人公とは違う考え方をすればいいんだよ!例えば!そう、ソシャゲに時間を使うのをやめるとか。親にありがとうって言ってみるとか。素直に旧友の成功を祝うとか(あわよくばそれを機に仲良くなってしまうとか)。とにかくよく笑うとか。
よーし、頑張って生き残るぞ!



安心度:★☆☆☆☆ 震えた
世界観:★★★★☆ 恐山ワールド
感動度:☆☆☆☆☆ 怖い涙は出た
読みやすさ:★★★★★ 内容はもちろん行間,文字,余白も好き
トータル満足:★★★★★ 衝撃を受けたし一気に読んじゃった

わたしの読書記録について・・・
「安心度」死の描写や精神的につらい場面がないほど安心度が増える
「世界観」雰囲気のよさで決める
「感動度」涙腺ぶっ壊れてすぐ泣く私の基準で、感動して涙が出たかどうか
「読みやすさ」言葉や表現が難しくて頭を使うものは読みにくいと思っている人間なので、私が読みやすいと思ったものはみんな読める
「トータル満足」これが高いと人に勧めてみよっかなって気持ち