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旅日記1*2024年8月9日 勝浦〜館山

オレンジスカートのお姉さんと旅した日。

この日は、始発で出かけ、青春18切符で3時間かけて勝浦に行った。目的は朝市と気が向いたら海中公園。さらに気が向いたら海中公園の隣のサウナ。

千葉駅から発車する電車、4人掛けのボックス席。斜め向かいの窓側にオレンジのスカートのお姉さんが座っていた。私は通路側の席に腰を下ろした。私とお姉さんは携帯もあまりいじらず、2人で窓の外をぼーっと見たりして終点まで一緒に過ごした。乗り換えでも一緒。そしてなんと、降りた駅も一緒。お姉さんも、勝浦か。

私はいつも現地のことをあまり調べて行かない。観光案内所に地図を貰ったり簡単な情報をもらって旅をはじめるのだ。その時は、朝市へ行くために8時に着き、観光案内所が閉まってた。そりゃそうか。だが、困った。まあ、なんとかなるか。google mapsの朝市と書いてある場所を目指す。やってない。どうやら、勝浦朝市は月の前半と後半で開催場所が違うらしいのだ。駅の改札前に、その案内があればいいのに。。。

私は通りすがりのハイエースのお兄さんが地元民に上記の質問をしていたのを盗み聞き、目ぼしい場所へと向かった。こういう訳で、さっきのお姉さんとはぐれてしまったのだ。しかし、私が朝市の入り口に入ろうとした時、お姉さんと再会した。お姉さんは出てきたのだ。そうか、朝市は見所が少ないのかと私は悟った。

朝市の会場近くにあった看板。

勝浦朝市は日本三大朝市の中でも歴史が古いことが特徴らしい。日本三大朝市とは、勝浦・能登・高山だ。能登はご存じの通り、地震があったため暫く復興を願うしかない。高山は年始に行ったが、彼がコロナで行き損ねた。だから私は、勝浦に行くしかないと思ったのだ。しかも、ニュースがいうには、勝浦は関東の中でも避暑地らしい。それをキッカケに、そうだ、勝浦に行こうと思ったのだ。

勝浦朝市の様子。

勝浦駅周辺、8月、朝8時はそこまで涼しくなかった。私の他にも、皆、観光客はあまり涼しくないねと口々に言う。土日の朝市は店舗が多いらしいが、私が行った金曜日は少なかった。漁の良し悪しにもよって店舗数も変わるらしい。今日は不漁だったのだ。しかも私は旅行者の勝手な都合だが、食べ歩きがしたかったので、勾玉や干物に興味がなかったのだ。安くて美味いもの。お腹も空いていて目当てはそれだけだ。

わらび餅が目に入り、並んで買う。黒胡麻ときな粉の2種250円。なんたる安さ!おじいさんが、もう天国に呼ばれてるから儲けなんていらない〜と言いながら売っている。平日の朝市に出店している人は、癖が強いと地元の人が言っていた。肝心のわらび餅は、本当に瑞々しい!これが私の朝食となった。私が食べ終わり、朝市を再びふらふらしていると、お姉さんが戻ってきてわらび餅を食べているではないか!!これには驚いた。

これで250円。

私はお腹が空いて海鮮を求めたが、地元の人気店は遠目から見てオーダーストップ!と書いてあり、諦めてふらふら歩いた。海近くの川があり、たくさんの魚が泳いでいた。こんなに色々な種類の魚が泳いでいる川を見るのは久しぶりだった。後から聞いたが、この海水と淡水の合わさる川にはどちらにも適応できる強い魚しかいないらしい。特に行く場所もないので次の駅に行くか悩んだが、朝市に行くまでに見つけた珈琲ショップで珈琲を頂こうと思いついた。行く時に「おはようございまーす!」と言ってくれた店だ。

私はそこで小休憩と地元民の店員さんと談笑を始めた。先ほどのお姉さんとの顛末を話すと、それはもう友達ですね!と言ってくれた。私は無職で青春18切符で旅をしていること、青春18切符の使い方など話した。店員さんからは地元のおすすめスポット・美味しい店などを聞いた。旅先で、朝、安くて美味い珈琲が飲めるのはなんとも幸せなことだ。そして心も満たされた。このお店は是非とも再訪したい。

このお店は徒歩30秒先のところに焙煎所兼休憩スペースがあるとのことだった。そこにはクーラー付きの休憩所があると言う。私はお手洗いを借りに行った。焙煎所は雑貨や少しながら本と雑誌が置いてある。私が持っている珍しい雑誌が置いてあり、それを皮切りに焙煎所の店員さんと会話を始める。

「この雑誌にお店が載っているんですか?いや、この雑誌を取り扱っているのは珍しいと思って、、私は持ってるんです。」

載ってはいないんですが、いいですよね。あ、あれとかもおすすめ。初対面の珈琲屋(焙煎所)でいきなり本の話を始めるのはなかなかない。その店員さんは銀色夏生さんの詩が好きだと言う。私はつい先日、その人のエッセイを読んだばかり。名前から男性だと思ってたけど女性らしいですね、と私が言う。へー!!と始まり、お互いにおすすめの本屋を教え合う。聞けばお兄さんはZINEも知っているらしい。私はなんとなく、おすすめされた雑誌を買い、次の電車が来るまで休憩所で休んでいた。

駅に戻るとき、先程の珈琲店舗に「雑誌買っちゃっいました。」と言い、私は店員さん達の「わー!ありがとうございます!行ってらっしゃい!」の言葉と笑顔を胸に、次の駅へと旅立った。

海中公園。

10時。勝浦駅の隣、海中公園の最寄り駅に着く。勝浦駅の一駅先なのに涼しい。バスに乗り、早速海中公園に向かった。その日は海が濁っていて、入場料が安かった。残念ではあるが、無気力に揺られる魚たちを見ることも早々あるまい。みんな無になり、右ーー左ーー右ーー左ーー。自分の力だけでは、どうにもならない日もあるよねーー。魚たちにそう話しかけられた気分だ。

流されるままの魚たち🐟

そしてお腹が空いてきた。なんせ、朝食はわらび餅なのだ。私は次に、歩いても行ける地元の定食屋へと向かった。先程の珈琲店で、ここは何食べても美味しいですよとお墨付きを頂いたお店だ。外から見ると、いかにも町の定食屋。食品サンプルが少し色あせていて、自分では選ばないお店だ。その時は11時半少し前で、人も少なかった。

勝浦はタンメンが有名らしい。普段食べない選択肢だが、暑いしアリだろう。しかし、私は辛すぎるものは嫌なのだ。店員さんにそれを伝え、月見タンメン辛さ控え目にしていただいた。これが正解だった。美味しい!!退店するときは、列ができていた。地元の人気店というのも納得だ。

月見タンメン。辛さ控えめ。

さて。やることがなくなった。海中公園の隣のサウナに行こうか悩んだが、この日はサウナの気分ではなかった。近くの海辺で、とりあえずぼーっとした。海は平日にも関わらず、カップルや友達、家族連れで溢れていた。そうか、夏休み・・・。私が夏休み、最後に海で遊んだのは何年前のことやらーー。引きこもりなので、遠い記憶だ。

駅のホーム

田舎旅で気をつけるのは、電車の時間。ここも例外ではなく、電車は1時間に1本程度だ。私は暑いので、次の目的地を館山とし、電車で涼むことにした。そのための青春18切符だ。館山は綺麗なビーチがある、なんかお洒落なところという認識しかない。これまた先程の珈琲店の店員さんにお勧め頂いた本屋を次の目的地とした。

海近くを走る電車は好きなのに、1列シートが嫌だ。前の知らない人の顔しか見れないではないか。相手も私の顔なんぞ見たくないだろう。4名掛けのボックス席にしてほしい。景色を堪能したかった。私は電車内で「モモ」の続きを読みつつ、館山まで辿り着いた。やはり、夏旅の日中は電車で読書に限るのだ。

館山に着いたのは15時前だった。約2時間も電車に揺られていたのだ。早速本屋へ行く。勝浦の方からお勧めされて来たんですと伝えると、あー!あの方ですね!よくいらっしゃいます!と店員さん。店員さんはお勧めの房総カフェの本を見せてくれた。それは先程の珈琲店でも見せて貰ったものだった。地元愛がすごい。思わずホッコリしてしまった。

館山駅から徒歩5分の北条文庫さん。

その本を買ったら愛読し移住することになりそうだったので買わなかったが、私は1時間かけて本を2冊買った。買いたい本はたくさんあったのだが、既に図書館で旅のお供の「モモ」を借りて持っていた。勝浦の珈琲店で買った雑誌もあったので、重さも考慮して選んだ。

店を後にすると、本屋の前に行った観光案内所の方と本屋の店員さんお勧めの桟橋へ向かった。それにしても、暑い。そして、帰りの電車の時間も迫っていた。最後に館山の風景ーー海を目に焼き付けた。

平日旅をしていると、平日の店の開店割合の少なさに驚く。この世は土日休みの人のために周っていて、土日のみ営業の店が多いのだ。私が店を開いてもそうするだろうが、少し寂しくもある。だがしかし、今回の珈琲店や本屋のように、地方で頑張っている店もある。次回はぜひとも、夏以外に泊まりで行ってみたいと思った。

館山の桟橋。

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