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この春に入荷する本の話 2024.3

こんにちは。青山ブックセンター本店 文庫・ビジネス書担当の神園です。

今回は3月を個人的に振り返りながら、4月に入荷する本(といっても自分の担当の文庫に限りますが)の話をしていこうと思います。

今月の初め、行きつけのレコード屋BIG LOVEのオーナー・仲さんに、「店のスタッフというより、独立した視点と立場で、別の軸を持って色んなことをしてみた方が良い(大意)」と言われ、3月は新しく何かをしたいと強く思っていました。

そんな思いで書いたnoteが大きな反響いただき、感謝です。

この記事を書いて、反響を頂いて、改めて思ったのが、まあ当たり前な話なのですが、SNSでは"有益"な情報が求められているということ。


岸政彦さん 柴崎友香さん『大阪』(河出文庫)

大阪へ来た人、大阪を出た人――かつていた場所と今いる場所が「私」を通して交差する。街と人の呼吸を活写した初共著エッセイ。文庫化にあたって書き下ろし収録。解説:西加奈子

名エッセイ『大阪』文庫化です。岸さんはこれが初めての文庫作品ではないでしょうか。
柴崎さんは3月にちくま文庫から『百年と一日』が刊行され、2ヶ月連続での文庫刊行となります。
こちら、当店は限定で何かあるかもしれません…。お楽しみに!


でも、それはSNSにも関わらず、シビアな話、お店も同じで。何でもかんでも"有益"だから、というのはつまらないのですが、そこを意識しないとビジネス的にはやっていけない。じゃあこれから書店は新しく何をするべきか?

…と、色々頭の中で考えて煮詰まりがちなのですが、最近は考えるより先に行動することを意識しています。
なので、日頃行かない場所にも行ってみたり、誘いにはとりあえず乗ってみる。
そうすることで、新しい何かが見えてくるはず。

ということで、今月は初めて競馬場に。
(…いや、ダメな方向に向かっていないか??)

人より少しだけ直感が鋭い自分。
現地に来てみると、よく見えて集中できて、凄く勝ちそうな予感がします。

恐れ多いことに仲さんとご一緒させていただきました。

町田康さん訳『宇治拾遺物語』(河出文庫)

<こぶとりじいさん>こと「奇怪な鬼に瘤を除去される」、<舌切り雀>こと「雀が恩義を感じる」など、現在に通じる心の動きと響きを見事に捉えた、おかしくも切ない名訳33篇を収録。

町田康さん訳の『宇治拾遺物語』が河出文庫の新訳古典コレクションに!
町田さんと言えば、昨年の『口訳 古事記』が大きく話題を呼び、当店でもイベントやフェアを開催しました。
こちらも楽しみです。

(河出文庫の新訳古典コレクションも、noteでまとめて、フェアを展開してみようかな…?)


競馬、終わってみれば全負けでした。
え、なんで?

しかし、最近学びました。失敗しても負けても、すぐに反省して、どんどん次に進もうと…。


島田潤一郎さん『古くてあたらしい仕事』(新潮文庫)

「本をつくり、とどける」ことに真摯に向き合い続けるひとり出版社、夏葉社(なつはしゃ)。従兄の死をきっかけに会社を立ち上げたぼくは、大量生産・大量消費ではないビジネスの在り方を知る。庄野潤三小説撰集を通して出会った家族たち、装丁デザインをお願いした和田誠さん、全国の書店で働く人々。一対一の関係をつないだ先で本は「だれか」の手に届く。その原点と未来を語った、心しみいるエッセイ。

ギャンブルはほどほどに、見習うべきは夏葉社・島田さんの真摯で丁寧な仕事でした。

『古くてあたらしい仕事』も文庫化するのですね。
4月は島田さんの新刊『長い読書』(みすず書房) も発売されます。どちらも本当に楽しみです。

以前島田さんがお店に来られた際に、僕にこの書影をサプライズで見せてくださって…。感動しました。島田さん、いつも本当に優しいんです。僕が本ではなく野球の話をずっとしても聞いてくださります。

フランツ・カフカ 頭木弘樹さん編『決定版カフカ短編集』(新潮文庫)

この物語はまるで本物の誕生のように脂や粘液で蔽われてぼくのなかから生れてきた――。父親との対峙を描く「判決」、特殊な拷問器具に固執する士官の告白「流刑地にて」、檻の中での断食を見世物にする男の生涯を追う「断食芸人」。遺言で原稿の焼却を頼むほど自作への評価が厳しかったカフカだが、その中でも自己評価が高かったといえる15編を厳選。20世紀を代表する巨星カフカの決定版短編集。

没後100年ということで、短編集が刊行されます。
カフカって、色褪せず、いまだに前衛的なものとして読めて、読むたび発見があるのが凄いです。

こちらは刊行に合わせた選書フェアを展開する予定ですのでお楽しみに!ABCのお客さんが絶対に好きなラインナップになると思います。


他にも、ジャック・ロンドン 川本三郎さん訳 『ザ・ロード アメリカ放浪記』(ちくま文庫)や、くどうれいんさん『虎のたましい人魚の涙』(講談社) が文庫で刊行予定です。
良タイトル盛りだくさんの4月になりそうです…!

4月はnoteで新刊本の書評や紹介記事も発表しようかなと思います。
文庫の話ばかりですが、実は文庫よりも仕事に重きを置いているビジネス書の売上もお陰様でかなり上げることができていて、その話もnoteで発信しようと思います。

3月、イベント7つ担当して、フェアも色々変えたりで、かなり忙しかったのですが、4月はそれ以上に忙しく動いていきます。
全てはABCが好きなお客さんに喜んでもらうためです。

ご来店お待ちしています!

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