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かすかな晴れ間

 荒れた天候から1日たった。雨はあがったが曇天だ。新緑の美しい晴れ間を恋しく思う。すっきりしない気持ちを抱いているから、なおさらどんよりしている。

 毎日生きるということは、やっぱり大変だ。ひどい悲劇や壊滅的な絶望がなくたって、すり減っていく。そして、いらいらやとげとげが溜まっていく。優しさや手助けだってもらっているのだけれど、それは都合よく忘れている。無意識のうちにもっともっとと求めている。批判と非難と不満でぱんぱんに膨らんでいる。軽く突くだけで爆発しそうだ。

 「何がご不満?」

 スズメがちょんちょん跳ねながら、首を傾げる。

 小馬鹿にされているような気がして、腹が立つ。スズメに近づくと、さっと飛び立ってしまった。

 何も得たものはなく、隣に誰もおらず、将来の展望はない。

 ああ、不満じゃない。不安なんだ。それに気付いた。

 そりゃそうだろ。何も考えず、何も努力せず、流されてきたのはおまえだろう。

 自業自得。自己責任。自己憐憫。

 頭の中で薄ら笑いした自分が自分をハンマーで殴り続ける。

 そうやって自分で自分を痛めつけたって、何にもならない。「だから何?」だ。
 打開策を見つけるわけでも、がむしゃらに努力するわけでもない怠け者が。

 脳内での自傷行為は意味がない。

 第3の自分が、また呆れたように鼻で笑う。


 …疲れてしまった。もうとりあえず考えることはストップ。

 堂々巡り。頭を振る。背筋を伸ばしてストレッチをする。空を見上げる。

 かすかな晴れ間さえ見えない。

 

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