【僕が消防士を退職した話】
僕が中学2年生の時、東日本大震災を経験した。
震災の最中、懸命に頑張る消防士の姿がめちゃくちゃカッコ良かった。そんな消防士のカッコいい姿が脳裏に焼き付いていたからこそ、きっと消防の世界はカッコいい大人で溢れているんだろうなと思って、僕は消防士を志した。
しかし、現実は甘くなかった。
消防士になった当初、憧れっだった職業にやっとなれた喜びで仕事に対するモチベーションが高く、消防士1年目の消防学校を首席で卒業させてもらった。
1年目の消防学校をトップで卒業した時、「俺の人生はもう安泰だ」「このまま出世街道まっしぐらだ」
そんな思いを抱いていた。
しかし、そんな思いを抱いていた頃からちょうど1年後。
僕は消防士を退職した。
理由は上司たちからの嫌がらせに耐えられなくなったからだ。
それが辛くて、僕は逃げするように消防を退職した。
でも、消防を退職してからしばらくの間、
憧れだった職業を退職した現実を受け入れられずにいた。
つまらない嫌がらせなんかで辞めた自分自身に対して、メンタルが弱くて、クソダサい人間だなって思っていた。
自己肯定感なんて皆無だった。
嫌がらせをしてきた上司の家を燃やしにいく計画を頭の中で何千回と考えた。
だけど、さすがに火を消すことが仕事だったやつが家に火をつけるようになったら、家族や友達から僕の倫理観が疑われると思って踏みとどまった。
でも今思えば、僕は社会人2年目にして、心から尊敬できないカッコ悪いと思える大人に出会えてラッキーだったと思う。
そんな大人と社会人早々に出会ったからこそ、自分自身はこういう大人にはならないようにしようと思えたし、何よりそんな人間すらも許せるような男でありたいと思うようになれた。
間もなく憧れの消防士を退職して2年が経とうとしている。
それでも時たま、消防時代の出来事を思い出して悔しくて眠れない時がある。
それはきっと、まだ自分自身が消防での出来事を受け入れられず
そして、嫌がらせをしてきた上司を許せていない自分が心の奥底にいるのだろう。
消防時代の嫌がらせを受けた日々が
「あの時のせいで」ではなく、「あの時のお陰で今がある」
そんな言葉を言える日がくるように
そして、つまらない嫌がらせなんかで憧れの職業を辞めてしまったというコンプレックスを克服できるように
今を懸命に生きよう。
そんな過去の理不尽な出来事を受け入れ、嫌がらせやいじめをしてきた人すらも許せる、そんな器の広い男でありたいと
消防を退職して思った話。
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