脱力系エッセーの名著「カエルの宿」

今、川崎徹はどうしているのだろう。「天才たけしの元気がでるテレビ」にも出ていたフリーのCMディレクターなのだが、1986年発行のこの超脱力系というか下ネタ満載のコントのようなエッセーを読むと、マルチタレントの草分けのような感じでもある。こんなくだらないエッセーをぶれずに首尾一貫して書ける人は、今ならリリー・フランキーぐらいしかいないのではないか。

ちなみに、エッセーのネタにされている人物は実在の人も混じっているようで、今は文春砲とか言われて芸能界に恐れられている「週刊文春」編集長の白石勝(この人は後に文藝春秋の社長・会長まで上り詰めている)や、文春編集部の平尾・雨宮との取材旅行に着想を得たエピソード「カエルの宿」、本当にありそうな体で書かれている「勃起坂」など、いくら読んでも疲れない本である。

ちなみに、リリー・フランキーも1988年に「増量・誰も知らない名言集」というエッセーを出版していて(今は幻冬舎文庫で読める)、80年代バブル崩壊前の雑誌メディア連載物の勢いを感じる。川崎徹は文春、リリー・フランキーはマガジンハウスの連載だったようですが、2人に接点はなかったのだろうか。




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