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ヤギさん郵便No.55「不幸って何なんでしょう?」


例えばの話です。

母親が目を離している隙にお湯を沸かしている鍋をひっくり返し、3才の女の子が火傷をしました。そして右腕には大きな火傷の跡が残りました。

それを不憫に思った母親は火傷の跡を隠すように夏でも長袖を着せます。子どもが暑がって長袖を脱ぎたがるたびに「隠しておきなさい、女の子なんだからみっともないでしょ」と言い聞かせて。

そういえば親戚のおばちゃんに傷を見られた時にも「可哀想にね女の子なのに」と言われたことがあります。みんなこの傷を見ると悲しい顔をします。その顔を見ると女の子も悲しい気持ちになりました。

高校生になり好きな人が出来て思い切って告白した時には「お前にはもっと良い人がいる」と振られました。腑に落ちなかったけど、諦めました。その一週間後、あいつの腕汚いだろ?そんな奴と付き合えねーよな。と好きな人が言っていたことを噂話で知りました。

学校での居場所はなかったけれど、女の子には仲の良い友達が1人だけいました。小学校からの友達のカナコちゃんです。違う高校に通っていても、放課後はいつも一緒です。誰にも話せないこともカナコちゃんには話せます。カナコちゃんに好きな人に振られたことを話しました。そしてはじめてカナコちゃんに火傷の跡を見せました。そして好きな人が陰でこの傷を汚いって言ったことを話ました。

カナコちゃんは火傷の跡をそっと撫でてくれました。そして泣いてくれました。それは優しい涙でした。


不幸って何なんでしょうか?

深く深く傷つくことを不幸と呼ぶんでしょうか?

綺麗に生まれないことが不幸なんでしょうか?
お金がないことが不幸なんでしょうか?
相談できる人がいないことが不幸なんでしょうか?
やりたい事が何もないことが不幸なんでしょうか?
誰からも愛されることがない事が不幸なんでしょうか?


不幸って何なんでしょう?



今の私がわかる事は、その時に不幸だと思っていても、その反対側が絶対にあること。
不幸だと思っていても歩みを止めなければ景色が変わること。

そして、一般的に呼ぶ不幸がなかったら逢いたい人に逢えていなかったこと。


もしね、生まれる時に人生を選択できるのなら、みんなが羨む人生を選びますか?



それとも、深く傷つくことがあっても逢いたい人に出逢える人生を選びますか?











マガジン「ヤギさん郵便」をはじめました。エッセイのような手紙のような交換日記です。Yayoiさんの文章はこちらから読めます。⇩⇩⇩







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