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2000文字のシナリオ『魔王ロックミュージック』



○今日のお題
・アーティスト
・細胞
・ダメ出し

○総制作時間
2時間

○タイトル:
『魔王ロックミュージック』

○あらすじ:

魔王はロックミュージックを作って生計を立てていた。
しかし、曲のダメ出しを食らい、落ち込んで魔王城に引きこもる。
そこに現れた勇者に追い込まれて曲を誉めてもらい勇気を持てた。
そして、魔王は再び曲を作った。
タイトルは『細胞の一つまで魔王と勇者にひれ伏せ』

○登場人物

・マオウ
男。見た目年齢18歳。長い銀髪がトレードマークのロック大好きな魔王。
見た目に反して実は繊細な心を持っている。感化されやすい。
フレディ・マーキュリーは心の師匠。

・ユーシャ
女。年齢16歳。赤い短髪の活発な少女。元々村娘だったが、聖剣に見いだされて勇者になる。
元気いっぱいで、曲がったことは許さない姉御タイプ。
歌が大好きで、ロックも最近聴くようになった。


○本文:

//セリフは25字×3行
//背景:王都
//SE:ロックが流れる


【マオウ】
全てのロックを覆す、超魔王的ロックが完成した!
くくく……人間め、この魔王様が貴様らに
本物のロックを教えてやろう!

くはははははっ!!


//演出:暗転
//SE:ギターのストローク、クラッシュシンバル(曲の終わり)
//SE:去って行く足音


【マオウ】
…………。
な、なぜだ!
どうして誰も我の音楽を聴かぬのだ!

【音楽評論家】
ん……君がこの曲を作ったのかい?
全然ダメだよ、こんなの。

【マオウ】
なんだと?

【音楽評論家】
だって、スケールも完全に無視してるし、
和音もダイアトニックから外れすぎてる。
リズムもちぐはぐだしね。

【マオウ】
そ、それが我のロックなのだ!

【音楽評論家】
じゃあ、根本的なことを言うよ。
耳障りなんだよ、君の音楽は。

【マオウ】
わ、我の音楽が耳障り……。
耳障り……だと。

そんな……バカな。
う、うわああああああ!!


//背景:フェードアウト
//背景:暗転


【マオウ】
あれから幾日の時が経っただろう。
我は大好きなロックも聴かず、
魔王城に閉じこもる日々を送っていた。


//背景:魔王城・部屋


【悪魔執事】
マオウ様、そろそろ部屋から出てくださいまし!

【マオウ】
……知らぬわ。
世界征服など、勝手にやればいいのだ。

【悪魔執事】
しかし、勇者が来ているのです!

【マオウ】
……そうか。
ならば配下の者は全員逃がせ。
魔王城は無血開城だ。

【悪魔執事】
それでは、マオウ様が……!

【マオウ】
どうでもいいのだ。
こんな、我の音楽を理解できぬ者どもの世界で、
何を望むというのか……。

【悪魔執事】
……わかりました。
では、そのように手配いたします。

今までお世話になりました……。
マオウ様、どうかご無事で。


//演出:悪魔執事が出て行く


【マオウ】
ふ、これでいいんだ。
ここで我は朽ち果てよう。


//背景:フェードアウト
//背景:魔王城・魔王の間


【ユーシャ】
あれ、もう最後の部屋?
なんだかあっけなかったな……。

【マオウ】
ふははは……。
一人で乗り込んでくるとは、
なかなか肝の据わった女勇者だ。

【ユーシャ】
あんたが魔王ね!
って、なんで護衛が一人もいないの?
仮にも王なんでしょ?

【マオウ】
……問答など良いだろ。
さ、早く我を殺せ。

【ユーシャ】
なにそれ……。
罠……じゃなさそうね。
本気で言ってるの?

なんでそんな投げやりなのか、
死ぬ前に話してみてよ。

【マオウ】
……面倒な、勇者だ。

……よかろう。
ならば冥土への置き土産にくれてやる。


//演出:一時的に暗転


【ユーシャ】
――なるほどね。
それでここまでモンスターが出てこなかったんだ。
……ってことはあんたを倒しても意味ないわね。

【マオウ】
ん、なぜそうなる?

【ユーシャ】
だって、あんたの配下は
各地に散っちゃったわけでしょ。

そいつらを倒さないと、
平和が訪れないじゃない。

【マオウ】
たしかに、多くの魔物は、
すでに我のコントロールから外れておる……。

いやしかし、
魔王城まで来てなにもせずに帰るのか、勇者よ?

【ユーシャ】
それもそうね。
じゃあ、あんたの音楽を聴かせてよ。

【マオウ】
我の音楽を?
……耳障りかもしれぬぞ。

【ユーシャ】
いいから。
私、ロックが大大大好きなの。
魔王の作ったロックなんて最高じゃない!

【マオウ】
……面倒で、変わった勇者だ。
我の音楽を聴きたいなんて。

ならば、とくと聴かせてやろう!
超魔王的ロックの最後のステージだ!


//背景:暗転(時間経過)
//SE:ギターのストローク、クラッシュシンバル(曲の終わり)


【マオウ】
どうだ耳障りであったろう?

【ユーシャ】
いや……超かっこいいじゃん!

【マオウ】
か、かっこいい?
本当にか?

【ユーシャ】
嘘ついてどうすんの。
なんか、体の芯が痺れちゃった!
これ批判した人はちょっと頭が固すぎよ!

【マオウ】
く、くくく……なんとそうであったか。
聴く人が違えば、こうも反応が違うのか……。
くははははは! 痺れるほどかっこよかったか!

【ユーシャ】
ね、私、ボーカルやるから、
インストじゃなくて歌ありの曲作ってよ!
作れるでしょ?

【マオウ】
それは作れるが……。
どうするのだ?

【ユーシャ】
みんなに聴かせて回るのよ!
みんなの反応を見れば批判した評論家も
きっと青ざめちゃうわ!

そうだ。
人間だけじゃなくて魔物にも聴かせましょう。
それでラブ&ピースよ!

【マオウ】
そんなことが……いや、
この超魔王的ロックなら可能かもしれぬな。

【ユーシャ】
違う違う!
超魔王超勇者的ロック!
私も歌うんだから。

【マオウ】
くははは、欲深き勇者め!
よかろう、ならばおぬしも楽曲制作に協力せよ!

【ユーシャ】
OK!
やってやりましょう!

【マオウ】
うむ!


//背景:王都・城


【王様】
超魔王超勇者的ロック、待望の新曲、
『細胞の一つまで魔王と勇者にひれ伏せ』か……。

そなたのもくろみ通りであるか、
音楽評論家……いや賢者よ?

【賢者】
ふふふ……さて、どうでしょうか。

【王様】
ぬかせ。
あの勇者をスカウトしたのも、
そなたなのであろうが。

まあよい。
ラブ&ピースとやらに世界は救われたのは
事実じゃからな。

さて、わしもその新曲ライブに参るぞ
そなたも来るのであろう?

【賢者】
御意に。


//背景:王都・ステージ脇


【マオウ】
まさか、
我のロックを理解してくれる者が
こんなにいたとは……!

向かうぞ!
我らのロックを世界に届けるのだ!

【ユーシャ】
ええ!
やってやろうじゃない!


//背景:王都・ステージ


【マオウ】
魔王の――

【ユーシャ】
勇者の――

【マオウ&ユーシャ】
ロックを聴けえええええ!!


SE:盛り上がる観客


終わり

総文字数2272(演出指示も含む)

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