スタミュ3期12話 四季の時計塔飛び降りシーン考察

ツイッターで呟いていたのをいったんまとめます。
四季が時計塔に閉じ込められ、飛び降りるということが何を表しているのかの考察です。

スタミュ3期11話のラスト、四季は冬沢によって時計塔に閉じ込められる。
続く12話で四季は時計塔から飛び降りる。
けっこうな高さで、飛び降りれば当然無事に済むわけがない。
でもしれっと星谷達のステージを見に来る。

なのでミュージカル的演出として、あれはあくまでイメージ映像、抽象表現として考えることにします。

3期全体を通して考えてみます。

3期は閉じこもるという場面が頻繁にある。
4話で星谷が物置に閉じこもる。
5話で星谷と揚羽がロッカーに閉じこもる。
6話で星谷がロッカーに閉じこもる。
なんで閉じこもるって、見られたくないから。
冬沢たち華桜会に見られたくないから閉じこもる。
閉じこもる=見られたくない

面白いのが4話。
4話は序盤で星谷が閉じ込められて、その後、那雪たち2年生の前に姿を現さない。そして那雪は心配になる。
「我を忘れるほど追い詰められてるのかも!」
「最近の星谷くん、一人で頑張って、突っ走ってるみたいで」
「みんなの前では元気にしてるけど、一人になるとこうして(自分を殴る)自分を追い詰めてるときもあって……」
星谷が自分を殴ってると思ったのは那雪の勘違い。
しかし星谷が姿を見せないことによって、那雪は星谷の心境を悪い方向に想像してしまう。

4話の構成面白いね。
四季と春日野≒星谷と那雪

春日野「きみこそ、言わないのか言えないのか……分かんないよ。四季」

春日野は四季の心が分からない。
那雪は星谷の心が分からない。
四季は他人に心を見せないし、星谷は姿が見えないから。
閉じ込められて見えないから。

四季≒星谷 なら、四季は閉じ込められていた。
12話
四季「どんなに高い場所にいても、囚われの身では何もできない。それは……今までだって同じか」
四季は今までも閉じ込められていた。

チーム鳳が四季を見上げて話す場面、ここではなんで閉じ込められているのかって話じゃなく、なんで諦めるのかって話をしてる。
天花寺「なのにあんた(四季)は自分の腹の中を見せやしねえじゃねえか」
冬沢が四季を閉じ込めたのに、四季のことを問い詰めるわけだ。
それは四季自身が、閉じこもっているからじゃない?

冬沢は四季を閉じ込め、四季は自分で閉じこもった。
冬沢は四季を見たくなかった=冬沢は四季の心を見たくなかった
四季は見られたくなかった=四季は自分の心を見られたくなかった

冬沢の四季に対する心情。
8話
「あいつはいつでも清廉で正しい。でも、それだけでは王は務まらない」
10話
「誰かのため。悪意なんて抱いた事もない。だから知らなかっただろ? 気付かなかっただろ? 俺の気持ちを。俺がどんな思いでおまえを支えてきたのか」
「こんなことを言われても、おまえは腹を立てたりしないんだろうな」

いつでも清廉で正しい
悪意なんて抱いたこともない

これ、そうなのかも知れないけど、分かんないよね。
人の心は見えないし、四季は自分の心を見せようとしなかった。
清廉で正しいとか、悪意を抱いたことがないとか、そう思い込むことってある種の人間性の剥奪じゃね?
冬沢は四季を人間扱いしていない。冬沢は四季をキレイな人間だと思い込み(あるいは超人だと思い込み)、彼の心を見ようとしなかった。

スタミュで超人扱いされてる人がいるね。月皇遥斗、おそらく作中一の天才。
OVA2話
楪「先輩(遥斗)は超人です。絶対に苦労なんてしてません」
海斗「兄さん(遥斗)でも苦労したのか?」
苦労なんてしない、と超人扱いされる遥斗さん。
人間性を認められていないわけだ。揚羽は彼を「神様」と呼ぶしね。

冬沢は四季の人間性(あるいは心?)を認めたくなかったのかもしれない。
11話
四季「あいつらを見てると、俺は何者でもなかった頃の自分を思い出す。肩書もない。しがらみもない。ただ純粋に、やつらと、カンパニーの仲間でいられるんだ。そんな気がする」
冬沢「何が……何がカンパニーだ。笑わせるな。これまでずっと一緒にやってきて、俺には見向きもしなかったくせに」
12話
冬沢「あいつは来ないよ。来られるはずもない。閉じ込めた。あいつに、お似合いの場所にな」
「あいつはいつだってそうだ。誰よりも高い場所に立ち、誰のことも見ていない。一人でいるのと同じだよ」

冬沢は何者でもない四季を認めたくなかったんじゃないか?
四季は天才。上に立つ人。人じゃない。
自分より上の才能を持つ届かない存在である四季を、自分と同じ人間だと思いたくなかったのかもしれない。
超人なら届かないのは当然だし。自分には無理。敵わない。
冬沢はそれと同時に、四季に認めてもらいたいとも思っていた。
だから自分を見ない四季に苛立つ。
しかし自分と同じ次元に立つ四季は認めたくない。

四季は本当に冬沢を見ていなかったのか?
12話で四季が冬沢を尊敬していると言う。

冬沢は自分を見る四季を見たくなかった。

だから時計塔(誰よりも高い場所)に閉じ込め、四季を見えないようにした。
人になる四季を許さなかった。
自分より高い次元に閉じ込めた。

思うに、四季はもともと感情を表に出すタイプじゃないんだろう。
冬沢にあれだけ詰られても、自分の心を見せなかった。
星谷達カンパニーの一員でありたいと言いながら腹を割らない。
ある意味ズルいといえばズルいかもしれない。

本題です。
12話で時計塔から飛び降りたのは、

四季は、人の次元に降りてきた。
自分の感情を伝えようと決意した。
高い場所に閉じこもるのをやめた。

星谷が彼の手を取ったのは、おそらく彼の人間性を認めたことの比喩なのかなあと。

時計塔関連の場面は全てメタファーなんじゃないかと思う。
キャラクターの心情や立ち位置を物理的な距離や高さに表してる。
四季は実際に飛び降りたわけではない。
(ひょっとしたら物理的に閉じ込められてすらいなかったかも)
あんな高さから飛び降りたら普通に死ぬもん。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?