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傷だらけの結婚指輪

結婚したばかり、当時の私は浮かれていた。

私たち夫婦だけの思いと意味がこもった婚約指輪に、結婚指輪。
古くなって傷だらけで、買ったばかりのつるつるぴかぴかなんて見る影もない、そんな年季の入ったプラチナになるまで身につけようね。と夫とうきうきしていた。

そんなとき職場の先輩が
せっかく高価なプラチナに傷がつくのが嫌だから、自分で安価な指輪を購入して身につけていると聞いた。

「だってさぁ、ショックじゃん?あんな高かったのに傷ついたりゆがんだりさ〜〜」

うーん、ですよね。
気付かぬうちに、たしかに仕事やら家事でどんどん細かい傷がついていく。
でも…それも年輪みたいなものだ。
傷ついた分だけ一緒にいたという証拠ではないか。
高価なものだからとしまっておくより、私はずっと身につけていたい。

そう思って数年、購入したショップのメンテナンスチケット期限が迫っていたため
ショップに赴きメンテナンスを依頼した。

「夫さまのリングが重度レベルの歪みでして…」

!?

あれだけ気をつけてもらっていたのに、たしかに夫の結婚指輪は微妙に楕円になっている。

結局私の指輪2つは無料でメンテナンス、夫の指輪は有料での修理となってしまった。

そのお値段、ざっくり2万円程。

夫はそれはもう落ち込んで何度も謝ってきた。
普通に生活していて歪むのであれば誰も悪くないし、致し方ないことだ。
でも…こうやってメンテナンスのたびにもし歪みが発覚して有料修理となるのは、正直痛い。

そこで先輩の言っていたことを思い出した。

元々、メンテナンスに旅立ったあとに約2ヶ月、結婚指輪の代用としてAmazonにてサージカルステンレス製の指輪を購入していた。
デザインはごくごくシンプルな甲丸。

これがまたしっくりはまり、メンテナンスから指輪が戻ってきても私たちの指にはまったまま。

購入していた結婚指輪は私も夫もいわゆるV字のデザインで、面の方向が決まっている。
たまにずれるとなおす必要があるし、私のにはダイヤがついているから汚れも気になっていた。
洗面所などで鏡を覗くとキラキラするダイヤ。
できれば綺麗なままにしておきたくて、中性洗剤での洗浄もよくおこなっていた。

さらに婚約指輪とダブルでつけていたからいつも左手に気を遣っていた。
それが思いの外ストレスだったことに気がついた。

あのとき、少し心の中で反発してごめんなさい先輩。
私たち夫婦の指に今順調で傷だらけになっていってるのは
購入した結婚指輪の10分の1にも満たない金額のサージカルステンレスです。

指輪どこのブランド?と聞かれると

「あ……Amazon?」

と答えるしかできないけど
丈夫で変色もせず、プラチナと見た目が変わらないので
サージカルステンレス指輪、これからも推します。

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