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『August』

オレンジの花びらが生垣から零れ夏は始まった。朝方何処かで郭公が鳴き、ねじれの位置に有る世界は愉快な音を生み出しているが裏で響くのはバックグラウンドノイズで子供は聞き耳を立て氷菓を齧っている。自転車で線路に沿った道を何処までも追うとセカイの図書館に何時か辿り着けるはずだと知っていながら途中でペダルを止め青の空を見上げる。空に踊るのは神の数式。でも知っている。セカイとセカイは始まりもしないし終わりもしない。アスファルトの熱気に汗が零れ落ちたってそれは変わらない。ひまわり畑でかくれんぼをしたけれど鬼が誰なのか?分かっている筈だ。セカイよひまわり畑にかわれ!そこでもセカイの後ろのノイズを聴く。そして氷菓をガリガリ齧るだろう。血と苦渋に満ちた世界にbye bye.何度でもわたしはセカイを聴く。擦れたような音止まない鐘の音砂嵐の音。それからKId.Ptに出会う。2人で鳥の囀りを聴き続ける。カワラヒラの歌鶯の歌、青い空に鷺が飛ぶ。セカイは一つきりじゃない。白いオウムが告げてくれる。

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