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『ノーライフキング』

カーディフからタウィンまで続く蓮のランタン。白を希求し砂に溶けていく鷺を片眼に記憶して君は何処かへ行ってしまった。下草の無い森の地面に金の空魚が泳いで、験、軌跡、影を木々の陰に探し、見失い、それでもと。蜻蛉の儚さの薄氷のレンズを灯した天眼鏡からは焼べられた活版が見え、其処から黒い森が拡がり続けている。森はこの森と繋がり、此処も其処もなく君へ注がれ、壁一面の滝に浮かび上がっては消えるアイリスの紋章とリトマス紙の青を陶器のレコード盤へ刻み込んで。落葉松と灌木の襞の向こうの湖の沙岸の白さに縫い取られた気配。幾億の空隙を越え、行ってしまう無機の王、君


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