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ある夜更け
ある夜更け 指先が薄い紫色に染まっていくのを
ぼんやり眺めながら 私は考えた
彼はまだ、生きているのだろうか
それとも野垂れ死んでいるのだろうか。
どうせまた、好きでもない女のもとで
性懲りもなく、抱くのだろう。
誰の腕の中でも、満足せず
貪るように
彼は、また、私ではない誰かを抱く
それは男でも
女でもなく
自分ではない、誰か。
ただの体
泣くことも、笑うことも、喜ぶこともない
ただの体を
今日もまた、埃のたつ
古いシングルベッドで
彼は、膝を抱えて
邪念もなく笑う、のだ。
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