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お利口さん

お立ち寄り時間…5分

鼻水をすする。
もはや舐めていた。

両手が塞がっているから仕方がない。
なみだが止まらず、我が子のあたたかさがより一層なみだを加速させる。

気を紛らわせようと歌を歌う。
家族の歌ばかりで、またなみだが出る。
どうしようもなく愛おしいのに、どうしようもなく不安な気持ちでいっぱいになる。

大切だからこそ、あなたを守りたいからこそ、
不安な気持ちになるのだと実感する。

あなたの泣き声が甘えた歌のようで
わたしのなみだを小さな体で受け止める。

大丈夫だよ、
守るよ、
と言ってくれているようで。

また、わたしはあなたに生かされる。

あなたにキスをする。
わたしのなみだと同じ味がする。

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