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【ありがとう。またあっちでね】

昨日舞い込んできた、彼のニュース。


普段、あんまり連絡がなくて
ラインだけつながってた先輩からの
電話が鳴った。


先輩(セ)「おう、キョウコ。元気か。」


私(キ)「あ!せんぱ~い!元気ですよ~!!
 今どこにいるんですか?」


先輩は、私の友人と仲良くなって
よく飲みに行ってたので
またお酒でも飲んで電話してきたのかな。


そう思った。


(セ)「俺?ああ俺は今単身赴任で
九州にいるんだよ。」


(キ)「え?九州?」


(セ)「そうそう。」


そういえば、他にも九州に単身赴任している
先輩がいたから、その先輩とでも一緒にいるのかな?


(キ)「どうしたんですか~~?」


どんな楽しい話が始まるのだろうと思っていたら

(セ)「あのさ。」

(キ)「はい。❤なんでしょう!」


少し、声色が変わった。


(セ)「ゆうじ(仮名)が死んじまったんだよ。」


(キ)「え? え? え?」


(セ)「ゆうじがさ、死んじまったんだよ。」


あまりの唐突な話に、言葉が出てこない。

(キ)「先輩!!それってどういうことですか?!!」


(セ)「毎年あいつから年賀状来ててさ。
    今年は来ねーなって思ってたんだよ。」


私は、混乱しすぎて先輩が何を言っているのか
理解できなかった。


(セ)「そしたらあいつの嫁さんから封書が届いてさ。
    昨年の11月に他界しましたって。
    そう書いてあるんだよ。」


(キ)「先輩!原因はなんなんですか?!何か書いてあるんですか?」


先輩の話では、他界したという事実だけが書かれていて
それ以上の情報はなかったらしい。


私はパニックのまま、とりあえず同期のみんなに
情報が入っていないか確認すると電話を切り
すぐにみんなに連絡をした。


連絡をしながら、
これは嘘だ。ドッキリだよね。先輩。
と頭で自分に問いかけていた。


誰も、彼のその事実を知る人はいなかった。


途方に暮れる。
何の情報もなく、ただ「他界した」という事実が
私の心を少しずつぎゅっと掴んでいく。



なぜだか、悲しみがこみあげてこなくて
すごく冷静になっている自分がいた。


でもちょっと待って。


私は、その事実を聞いた瞬間に
封印しようとしたことがあった。


だけど、時間が経つにつれて
封印しちゃだめだよって
もう一人の自分が言い聞かせた。



そう、彼は、私の人生で初めて
大好きになった男の子だった。



自転車で二人で公園でデートしたり
一緒に家で試験勉強をしたり
同じ目標に向かって部活を頑張ったり



青春の一コマを鮮やかな色彩で彩ってくれた
ステキな、素敵な、男の子だった。


カッコよかったし
優しかった。


そして、大好きだった。


ねえ、本当にもういないの?


本当は、うそだよ~って
突然現れるんでしょ?


早く出てきてよ!
早く。



49年という短い一生を
彼はどんな思いで遂げたのだろう。


悔しかったかな
辛かったかな


あまりのショックで涙も出なかった私。
だけど、今になって
涙がでてくるよ。


あの優しい声も
元気な声も
楽しい声も


もう聞けないのか。


彼の本当の死因はわからない。
だけど、わたしや、みんなの中に
ちゃんと彼は今も生きている。


大好きだったあの時の気持ち
ちゃんと覚えているよ。


30年も前のことが
昨日のことみたいに
たくさんたくさんよみがえってくる。



ステキな時間を
ステキな日々を
ステキな思い出を
絶対に忘れない。


泣くなよ。
きっとそういうはず。


オレ、こっちで楽しくやってるから
って彼ならそういうはず。


分かったよ。
もう泣かないよ。


でも、少しだけ。
少しだけでいいから
夢に出てきてよ。


もう一回、
声が、声が聞きたいよ。


泣いたらぶすになっちゃうじゃん。
ずるいよ。


でも、きっと人生頑張ったんだよね


ホントに、ほんとにお疲れさまでした。
きっとまた会おうよ。ね。


ありがとう。
またね。


また、あっちでね。
ばいばい。


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