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大好きなあなたへ…5/5

ほんの数日前

 歯を磨かせようと追いかけては逃げ、分別なくはしゃぎ回る娘の背中を、平手打ちしてしまっていた。叩かれても笑っている。そんな姿を見て、私は泣いている。いつもの風景。

 でも、あの時初めて、ぐっと手を止めて自分の足を叩きました。

 バシーン! 痛い・・。

 この力で叩いていたなんて、なんて事を…。
 すまない、と当時思いました。
 
 それが、今になって思い出すあの光景は、

 「よくがまんできたね、もう大丈夫だね」
 と娘が語ってくれます。

 それが在りし日の娘との、最後の記憶なのです。
 よかった、一度でも叩かずにこらえることができて。

 その時の娘は、今でも心の中でとびきりの笑顔です。

偶然か必然か

 今になって思うのです。

 母が、抑え込んでいた私への気持ちを、あのタイミングで吐き出したことも、私が急いで浴室の掃除をしたのも、間もなく訪れる別れのための練習であり、準備だったのかなと。

 さらに、私を支えてくれた職場の皆さんとは、直前の異動でお別れするはずだったのです。それが急遽取り消され、残留することになったと、後日聞かされました。

 偶然とは思えません。

 私が悲しみに耐えられるよう、見えない力が配慮してくれたのだと思えるのです。

愛猫にも伝わるこころ

 家の猫が、とても悲しげな顔をして、キャットタワーの上から娘がいつも座っていた食卓の席を見下ろしていました。

 食卓に上ろうとする猫の背を、そっと抑えてたしなめていた娘。

 猫もお別れだってことが分かったのでしょう。
 お前も悲しいんだね…。

大好きなあなたへ…

 私が、心の平穏を取り戻していく過程で、子供たちは不登校を完全に克服しました。妻も少しずつ前を向けるようになってくれています。

 私は、自分自身が癒されて行ったこの経験を、今助けを必要としている人に心から寄り添い、お伝えしていきたいと思う。

 自分をしっかり受け止め、自分を愛しながら。

最後に、笑顔がとっても素敵だった
大好きなあなたへ…

 「I love you because you are you」
 「私は、あなたを愛していますよ。
      そのままのあなたのことを。」

空気になった、今のあなたのこともね。
たくさんの気づきを、幸せを、ありがとう。

また会おうね。

この文章は、日本メンタルヘルス協会基礎コース終了レポートとして提出したものを加筆、修正したものです。

卒業式

令和2年3月19日
月命日にあたるこの日、卒業式を迎えました。

小学校の皆様のご厚意により式に出席、校長室で卒業証書とアルバムをいただきました。

一緒に受け取ってくれたかな?

ほんとうに、よくがんばったね。卒業おめでとう!

おわりに

 このような内容の文章を書き残す事に、少々気が引けました。
しかし、亡き娘が生前お世話になった方々、及びこの1年間親身になり私共を支えてくれた皆さまへの感謝、自分への労い、そして前を向いて歩き始めるために必要な事でした。

最後まで読んでいただいた皆さま、私のわがままにお付き合いいただき、本当にありがとうございました。

おかげさまで、今日も元気です。


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