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【第4部の3】空き家の運営を黒字化した経験から〜行政や地域住人を巻き込んで〜

長いもので第4部になりました!
連続で読んでいただいている方はありがとうございます!
自分の活動をまとめる+発信するという目的で始めたのですが、自分のことを説明する前に既に知ってる!っという方が最近ちらほらといらっしゃって嬉しく思います!

初めてご覧になる方は第0部をさっと目を通してから見ていただけると頭に入りやすいかと思います!

改めて以下構成載せておきます。
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【第0部:概要の説明
【第1部:事業のはじまり
【第2部:いざ!空き家の改修!
【第3部:空き家を改修しても空き家のまま
【第4部:手がけたプロジェクトの紹介】
⑴チョコレート工房project
⑵ながせのながや入居者募集project
↑過去の投稿はこちらから!

∟⑶4軒長屋リノベーションproject

↑今回の記事になります!

∟⑷造(みやつこ)リノベーションproject
∟⑸オープンナガヤ大阪

【第5部:取り組んだ活動の紹介】
【第6部:あきばこ家の今後】

初めて読んでいただける方は第0部を見ていただけると分かりやすいかと思います!

これまではあきばこ家がながせのながやをどのように"再生"させたのか。ということをテーマに絞ってまとめました。

 この章ではあきばこ家の中で私がどのようなことをしたのか、また“ながせのながや”とは別で生まれたプロジェクトの紹介、リノベーション事例の紹介をさせていただければと考えています。各プロジェクト毎少し長くなるので、プロジェクト毎に紹介できればと思います。

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【第4部目次】

⑴チョコレート工房project (2016/12)
⑵ながせのながや入居募集project (2016/12〜)
⑶4軒長屋リノベーションproject (2017/2〜)
⑷「造(みやつこ)」リノベーションproject(2017/6〜)
⑸オープンナガヤ大阪 (2017/10〜)

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⑶4軒長屋リノベーションproject

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(↑改修前の4軒長屋)当時築約50年。 4軒のうち2軒は約20年ほど空き家。残り2軒は入居者がいたため、きれいな状態のまま残されている住戸と荒廃した住戸が混在していた。

<目次>
⒈4軒長屋の概要と依頼内容
⒉改修プランの提案①
⒊改修プランの提案②(実施案)
⒋改修工事にあたって
⒌完成内覧会
⒍ウッドデッキ・郵便受けの施工
⒎引渡し後、その他メディア掲載

⒈4軒長屋の概要

 2016年6月に「ながせのながや」が完成し、この地域内で珍しいリノベーションされた建物が現れました。地域住人の交通量が多い立地に位置するため、地域内でたちまちこの建物の存在が広がりました。その存在が近くで不動産オーナーを代々営んでいる方の耳に入り、オーナーが所有する空き家をどうにかしてほしいと依頼をいただきました。近畿大学に徒歩5〜10分という立地に位置しています。

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(↑既存図一階平面図)まだ各家庭に浴室がない時代に建てられたため、浴室がない。改修するにあたって浴室の計画を練らないといけない。約33㎡の広さ。

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(↑既存図二階平面図)約38度の急勾配の階段を登ると個室が2に分かれている。約20㎡の広さ。

オーナーであるN様は土地付きの4軒長屋を6棟、店舗付き1〜2棟も所有されているという由緒ある大家さんです。ただ全て築50年前後の建物で、昔に入居した人が高齢者用施設に転居したり、お亡くなりになったことで空いてしまい新たに入居者をつけるのは考えられずお悩みとのことでした。

オーナーとしてもこれまでに6セットある4軒長屋の1セットを解体してアパートに新築したり、1セットを解体して駐車場に変えたり、内装だけの簡単なリフォームをしたりしていましたがどれも上手く行きませんでした。そこで白羽の矢が立ったのがリノベーションになります。賃貸収益増加と若い世代の入居のために予算の限られた学生によるリノベーションプランprojectが始まりました。

・2018年2年 提案1(シェアハウスプラン)・2018年7月 提案2(4軒長屋通常プラン)・2018年8月〜11月 実施設計・2018年11月 着工・2019年2月 竣工内覧式・2019年4月 完成・引渡し

⒉改修PLANの提案①

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プラン:シェアハウス
一階を全て共用部とし、二階を個室にして、4軒長屋を6人まで入居可能なシェアハウスとして改修するプラン。

ターゲット:学生
1住戸1階と2階合わせて約53㎡もあり、学生1人で住むには広すぎて、選ばれる物件を計画しにくい。
そこで、二階の部屋を2人分の個室として分けて、一階は全て共用部とした。
シェアとすることで浴室の数やトイレの数などを抑え、金額を下げることを狙っている。
運営はながせのながやを運営していることから、あきばこ家が運営に携わるフロー。

操作:用途変更
シェアハウスは用途変更する必要があり、用途変更は100㎡以上からかかってくる(※現在200㎡に法改正)ので一階と二階の一部を外部として「減築」している。
→法改正された現在であればまたプランが変わってくる。

⒊改修PLANの提案②(実施案)

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(↑改修PLAN一階二階平面図)各住戸はそのままで、現状の住まいをアップデートする提案。(シェアハウスのプランでOKをもらい進めていたけれども、後で断られた、、)

プラン:普通の長屋住宅
浴室を元キッチン部に入れ、キッチンをリビングダイニングと同じ部屋に入れ込んだ。(LDK)

ターゲット:新婚夫婦、ファミリー層
学生の一人暮らしでは広すぎるので、ターゲットを新婚夫婦かファミリー層に絞った。この地域にある不動産屋の中で施主が繋がりのある不動産屋が扱うファミリー向け賃貸を洗い出して提案をした。

操作:浴室の設置
用途変更なし。元々一階の裏庭に違法増築されていたユニットバスを撤去し、キッチンの箇所に新しくユニットバスを入れた。

⒋改修工事にあたって

今回4軒を全て内装と外装のフルリノベーション+母屋屋根の葺き替えを行いました。
予算は4軒で1600万円(1軒400万円という破格な金額)でした。これを達成すべく、工務店さんは儲けがなくても良いという承諾を得て、また工事費を減らすために建築学生の工事ボランティアチームを発足し、シフトを組みました。

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(↑建築学生が解体のお手伝いしている様子)約50年前の畳を大量に搬出している。これだけでも解体工2人の人工しかかかっていないので、学生の人工だけでもかなりの減額になる。

また、私自身の設計ということもあり未熟さを痛感することとなりました。図面を描いたものの現場でどのように納まるのか、また金額はどうなるのかといったところが全く分かっていませんでした。
そういった経験から現在はリノベーション会社の施工を見る部署に志願して、配属していただいています。

実際建物の柱が垂直を取れておらず、少し歪んでいることで、ドアや建具枠、ボードの施工が難しかったことを現場で見ることが出来ました。

解体してから大引が腐ってしまっていて、やりかえるなど工期は延びてしまいましたが、本工事は無事2019年4月に完了しました。

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⒌竣工内覧会

工事にあたって近隣の方々に多大なるご迷惑をおかけしたことと、入居者を早期から付けるために完成内覧会を催しました。
当日は私からの工事の説明とオーナーさんからのこのリノベーション工事に対する想い、また工務店の代表から工事に対しての想いを話しました。

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(↑竣工内覧会の模様)オーナーと近隣の住民の方々がいらっしゃった。メディアにも来ていただき取材を受けた。

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⒍ウッドデッキ・郵便受けの施工

本工事は工務店に全て任せていたのですが、一方で裏庭のウッドデッキと玄関の郵便受けを学生で施工することとなりました。

簡単に工事費を概算で出して、オーナーさんから材料費を頂き、その中から工事の段取りと手伝ってくれる学生のシフトを組みました。

工事にあたってきちんと工具を使える学生がほとんどおらず、ツリーハウスを作ってきた私の経験が活かされました、、笑

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(↑裏庭の写真)元々違法に設置されていたユニットバスがあった箇所。給水管が這っていて、水平も取れていない。捨てコンも削った。

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(↑基礎を作り、木枠を建てつけた)大工さんに応援いただき、木枠と基礎を均していただいた。

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(↑フレーム完成後)防腐塗装をした材をひたすら打ち込んでいく。ここは学生で出来る範囲。また外壁も塗装した。

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(↑完成写真)とてもひどい裏庭だったところが一気に雰囲気が変わった。オーナーさんにとても評価を頂くことができ、後に不動産屋さんも客付けの強みになると評価された。

郵便受けに関しては元々の郵便受けがあった壁面を壊して、玄関のドアを付けたため新たに郵便受けを作る必要がありました。
郵便受けに関しては工事で出た端材を使って作りました。

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(↑元々の玄関周り)左手の埋め込みガラスの下にあるのがポスト。改修にあたって玄関の間口を広くした。

新たな郵便受けとして、ホームセンターで売っているものをつければ簡単なのですが、せっかくここまでして味気のないものを入れるのは合わない、、かといってデザイン性のあるものも費用的に厳しい、、、ということで作りました!

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(↑設置した郵便受け)玄関の縦算の隙間から入れて、取り出しは写真右手から取り出す。12㎜の構造用合板にオイルステインを塗装した。

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(↑設置後の写真)「どこ!?」となるくらい一体化している。縦算に塗布したオイルステインより一段階暗い色で郵便受けを塗装したので目立ちにくくなっている。

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(↑設置するとこんな具合)

⒎引渡し後・メディア掲載

本工事と裏庭、郵便受けが完成してようやく引渡しになりました。オーナーもこんなのは見たことがないと言わんばかりに喜んでいただきました。
引渡し後はオーナーが古くから付き合いのある不動産屋さんに管理仲介を依頼しました。

実際完成後すぐに一部屋が埋まりました!!

ところが、、その後1ヶ月ほど入居者が決まらない、、、。
この地域的に新しいワンルームマンションが年5〜7棟建っている地域で家賃も安い。そういった地域の不動産屋さんはあまりこういった具合の不動産を扱いにくいのでは、、、と不安がよぎりました、、、。

しかし、完成から約2ヶ月後、、、

満室となりました!!!!

狙い通り若い新婚夫婦とデザイナーの方が入居されたとのこと。この瞬間には本当に心から嬉しく思いました。
いろいろ施策を打ったものの失敗続きで今後どうしよう、、と悩んでいるオーナーさんの役に立てたことにとても嬉しかったです。

しかし、嬉しさの反面こういった空き家がどんどん増えていくのだという現実に向き合いました。今回はプロジェクト化して出来たもので汎用性が低いので、どう他の手を考えないといけないのか、、と。

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このプロジェクトは寝る間も惜しんで計画から設計、不動産との絡みを考えました。
今回のような不動産を再生させるリノベーションは入居者が付くか分からない不確実性を持っていてとても難しかったです。

ここまで読んでいただきありがとうございました!
下記メディア掲載なので良かったらご覧下さい。

東大阪経済新聞
https://higashiosaka.keizai.biz/headline/675/

空き家ナビ
https://akiya-navi.jp/blog/archives/554

**近畿大学プレスリリース **
http://www.news2u.net/releases/158575

次回は造(みやつこ)リノベーションprojectになります!

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