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【第2部】空き家の運営を黒字化した経験から〜行政や地域住人を巻き込んで〜

なんだかんだで第0部から始めて、とうとう第2部になりました!
ここまで連続で読んでいただいている方がいらっしゃいましたらありがとうございます!

改めて以下構成載せておきます。
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【第0部:概要の説明
【第1部:事業のはじまり
↑第0〜1部はこちらから見れます!

【第2部:いざ!空き家の改修!】←本編
【第3部:空き家を改修しても空き家のまま】
【第4部:事業の好転。そのきっかけとは】
【第5部:手がけたプロジェクトの紹介】
【第6部:取り組んだ活動の紹介】
【第7部:あきばこ家の今後】

今回の第2部では、空き家であった「ながせのながや」の実際のリノベーション工事について少し詳しく説明していきます。
建築的な話になるので、あんまり興味ない方は飛ばしてもらえたらと思います笑

-----------------〈築86年の空き家の改修〉

ながせのながやを改修するにあたって、難点が2点ありました。

1つめは6軒長屋であること、2つ目は約20年の間利用されていなかったことです。

⑴6軒長屋であることについて
そもそも長屋の構造は隣の家と壁を共有しているつくりになっています。また、建物を支える基礎も最近主流の"ベタ基礎"ではなく"布基礎"であるなど地震が来た時に揺れて力を分散するつくりになっています。
建物を平面で見ると、長手(奥行き)方向の揺れには強いのですが、短手(間口)方向の揺れには弱いと言えます。

6軒のうち2軒だけをしっかりと構造補強をしても効果が薄く、構造をがっちり補強しすぎてもかえって応力が集中してしまい倒壊の可能性が高まります。

これらの長屋特有の課題をj.podという手段を使い、乗り越えました。
(j.podについてはこちら

① 耐震リング
→柱と主要となる梁の接合部補強と揺れの軽減を担っています。

② 制振フレーム
→短手(間口)方向の揺れに対して補強をする。筋交いは入っていないのがポイント。

③ j.pod耐震シェルター
→構造的に長屋と分離しているため、地震で建物が倒壊してもシェルターに逃げ込めば大丈夫というもの。
j.podはこのような長屋などの古い建物に対してデザイン性を損ねず、解決する手法として有効と言えます。(HPの施工事例にも掲載されています。)
(↓ながせのながやのj.pod耐震シェルター内)

⒉約20年の間利用されていなかった
家は誰も住んでいないと痛みが早くなってしまいます。
ながせのながやでは、大棟が15cm沈み、また柱が歪んでしまっていました。その他構造的に手を加える必要があり、改修費用がどっと増えてしまいました、、。

空き期間が長いことの悪い点は主に3つあります。①害虫等の侵入 ②雨漏りに気づかない ③メンテナンスが出来ない。
以上のことから活用の可能性を消さないために適切な管理保全が必要になります。

実際築100年を超える町家でも人がずっと住んでいると状態が良いものが実は眠っています。

このように空き家のまま管理保全が出来ていないものか、優良なストックなのかを判別して、エリア一体として活用の可能性を広げていくことが出来ればと考えています。

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〈学生が入る工事とは〉

古民家等を学生や素人の手で改修するということが最近多くなっているかと思います。
このながせのながやは仕上げ段階の漆喰塗りの一部をワークショップを開催し、地域の方々と漆喰を塗るといったある種「余白」を残して工事をしています。

実際に"協働"という体験を通して客観的であったところから、自分も関わっているという主体的な視点を持つことができ、それがコミュニティや居場所を生むきっかけになると言えます。

建築学科とは言え、ほとんどが工具に触れる機会がないのが実情ですので学生にとっても良い機会になります。

(↑工具に触れて作業をする学生)
ながせのながやが完成後に学生が工具を使ってDIYを行った様子。
ながせのながや自体は漆喰塗りなど仕上げ工事を行いました。

最近はDIYのスキルを一般の人でも簡単に動画サイトなどで学び、実践できますが工具や作業場所、またそういったことをするきっかけが少ないので、こう言った機会を作ることは地域の人や学生のwin-winな機会になりました。

(↑左手前が部屋、右側が廊下)
壁面は漆喰仕上げ。学生も一部塗っている。

ながせのながやのリノベーション工事については以上となります。
簡単にまとめましたが、長屋という建物をリノベーションするにあっての難しさがありました。

また次回からはながせのながやが完成後に私がジョインしたところからのお話をさせていただきたいと思います

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