『日日是好日』
原作が味わいきれないほどとても良くて、そこに脚本、キャスト、音楽を含めた作り込みがとてもマッチした傑作。
題材がお茶というニッチなテーマだから興行的には難しいと思うが、個人的には日本映画史に残る名作だと思う。
冒頭から何度もうるっときてしまった。
本当にとても丁寧にお茶と日常が描かれている。
お茶のことは全く判らないが、季節や天候などに沿ったお菓子や掛け軸の選択など。
時には相手の状況にそっと寄り添うように。
お茶をする所作が何とも言えず美しい。
黒木華さんと多部未華子さんがとても良くて、その所作が徐々にきれいになっていくのがうっすらと描写されていて。
何と言っても樹木希林さんのもはや演技なのか素なのか判らない佇まい。
お茶の動きをほんの少し習ったとは思えないし、ずるいと言えるほどのはまり役。
お湯と水で流れる音が違うだなんて思ったことも感じたこともなかった。
でも不思議と知っていたような気がする。
そういえば陽射しも春と秋では違うのだった。
小さな音や風の当たる感触だったり。
そんなことをこの映画は描写してくれている。
映画の中の台詞にもあったが、頭で考えるのではなく、体で感じて“今”を大切にするための作法なのかなと思った。
“今、ここ”
病気が少し良くなるきっかけの1つかもしれないある方が残してくれた言葉。
そして、数年坐禅に通うお寺のご住職の1つ1つを丁寧にする所作や姿勢。
慌ただしく日々を過ごす中で、今と足許を大切にと改めて思う。
なかなかできないけど(^^;)
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