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【Poem】 小さな私がうそをついた理由。

人生で最初についた嘘を今もハッキリ覚えている。

姉がどうしても使わせてくれなかった色鉛筆。

5歳の誕生日に、やっと自分の色鉛筆12色セットを買ってもらうことができた。

なのにデパートからの帰り途、置き引きにあい、なくなってしまった。

肌身離さず持っていればよかったのに・・・。

少し目を離した隙に・・・なくなっていた。


泣き出すより前に、頭を思いめぐったのは、「どうしよう」という想い。

母に叱られる、怒られる、怒鳴られる・・・。

「なんて説明しよう・・・」

とっさに嘘が口をついて出た。

「大きなお兄ちゃんが持っていってしまった」「返してって言ったのに」

「悲劇のヒロインにならなくては・・・」そう思った。


いくつになっても、あのときついた嘘は忘れられない。

今でも失敗すると必ず「どうしよう」と、言い訳するための理由が頭をめぐる。

でも、少し冷静になると、「嘘なんてつく必要ないじゃない」と可笑しくなる。


「嘘をつく」のは自分を守るためだった。

大人になって、その事実にふと気がついたとき、

「私は絶対にそんな親にはならない。なってはいけない」と誓った。

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