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阪神電車をもっと楽しむための用語3点

阪神電鉄は、プロ野球チーム「阪神タイガース」の親会社であり、梅田〜元町間を結ぶ「阪神本線」と、武庫川から分岐して武庫川団地前までを結ぶ支線である「武庫川線」の2路線を保有・運営する鉄道会社です。
今から116年前の1905年、ほぼそのまま現在の阪神本線である大阪〜神戸間(当時は出入橋〜三宮間)を結ぶ鉄道路線を開業させることを目的に創業しました。
阪神電車という鉄道を一言で表すとすると「高速版路面電車」と言えるような形態で始まっており、駅と駅の間隔が非常に短く、時代を経るにつれ徐々に現在のような普通鉄道の形態に近付いていった経緯があるため、ほかの鉄道会社には無い独特な用語(愛称)がいくつかあります。
今回はその「阪神用語」から三つご紹介しましょう。

「ジェットカー」

阪神本線(大阪〜元町)は、路線全体の距離32.1kmに対して駅の数がなんと33駅もあり、駅と駅の間隔が平均して約1kmしかありません。

並行して走るJR神戸線の大阪〜元町間のデータと比較すると、JRは路線距離が31.4kmに対して駅の数が16駅しかなく、これらを割り算すると1駅間の距離は倍の約1.96kmとなるため、いかに阪神本線の駅間が短いかがお分かり頂けるかと思います。

阪神本線では、主要駅に停車する特急や急行などのいわゆる優等種別と、33ある駅にすべて停車する普通列車がありますが、各駅に停車する普通列車に一般的な走行性能をもつ電車を投入すると、すぐに後続の速達列車に追いつかれてしまいます。

そこで高い加速性能と減速性能を持たせることにより簡単に速達列車に追いつかれない車両をコンセプトにした普通列車専用の電車が開発されることになりました。

この普通列車用の電車群についた愛称こそが「ジェットカー」です。

「ジェットカー」という言葉の語源は、この高加減速性能を『従来の車両をプロペラ機とするならば、この車両はジェット機に匹敵する加速・減速の良さである』と喩えから、阪神電車の普通列車用電車を表す愛称として生まれた言葉と言われています。

この車両の加速度がどれほど高いかと言いますと、電車が0km/hの状態からどのくらいのペースで加速していくかを表す「起動加速度」という指標があり、例えば山手線を走るE235系であれば3.0 km/h/sという数値で表すことができるのですが、阪神電車の「ジェットカー」代表形式である5001形(2代目)では1.5倍の4.5km/h/sあり、この数値を体感で表すとするなら、電車が止まっている状態から動き出す際に軽いGを感じるレベルの高さです。

この「加減速性能を高めた普通列車専用の電車」というコンセプトは、先行試作車の初代5001形から最新の5700系まで連綿と続いています。

「青胴車」と「赤胴車」

阪神電鉄では、先述の経緯から各駅に停車する普通列車に用いる車両と特急や急行などの速達種別に用いる車両が明確に分けられており、カラーリングも青と赤の対の塗装が施されました。

このカラーリングは、1959年に登場した普通用5101形・5201形と、1958年に登場した急行用3301形・3501形でそれぞれ初めて採用され、車体上部のカラーリングは共通のクリーム色で、車体腰部から下の塗装を普通用の電車は青色(ウルトラマリンブルー)、急行用の電車は朱色(バーミリオン)と車両の用途によって塗り分けられたことから付いた愛称で、転じて普通車と急行用のことをそれぞれ「青胴車」「赤胴車」などと呼ぶようになりました。

「赤胴車」と「青胴車」の語源は、当時人気だったテレビドラマ「赤胴鈴之助」の名前にちなんで付いたようで、急行の「赤胴車」から派生して普通の「青胴車」が生まれたというのが経緯だと思われます。

このカラーリングは、急行用電車では1995年製造の8000系まで、普通用電車では5001形および5131形・5331形まで続けられ、それぞれの次世代の車両から、より明るいカラーリングに変更されており、最新の形式ではツートンカラーに縛られないデザインになったものの、急行系は赤、普通系は青という規則性は維持されており、赤胴青胴の伝統は今も生き続けています。

今の阪神電車

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※一部、阪神と相互直通運転を行っている他の鉄道会社の電車があります

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